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「天国の弟へのはなむけに」

 今回、ベンチには勝利を祈る千羽鶴の束が飾られた。

 今年5月、白血病で亡くなった安泰成主将(3年)の弟・安泰栄さんへ渡されたものと、大会予選で大阪朝高に敗れた日本の高校から送られてきたものだ。

安泰栄さんのオモニ・文俊恵さん

 安主将は、弟の骨髄移植のために1週間入院。一時は快方に向かった。しかし、インターハイ府予選中の5月に中大阪朝鮮初中級学校・中級部2年だった泰栄さんはこの世を去った。

 「弟のためにも勝ちたい」−そんな思いで臨んだ決勝戦だった。

 安主将は、「優勝が弟への餞になった」と涙をこらえ、中大阪初中サッカー部の弟のユニフォームを着て同胞らの声援に応えた。そして、ユニフォームの胸元をぐっとつかみ、「まずは全国で1勝したい。応援してくれた同胞たちのため、残りの期間しっかり練習に励み結果を残したい」と笑顔を見せた。

 オモニの文俊恵さん(45)は、息子の遺影を手に声援を送った。勝利の瞬間、涙が止まらなかった。「この子たちからは元気をもらいっぱなし。嫌な事があっても試合を見るだけでスカッとする。主将としての苦労よりも、みんなが泰成のことをしっかり支えてくれた。今回の勝利にみんなに心から感謝したい」。

[朝鮮新報 2005.11.15]