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AFCユース選手権大会予選グループN 朝鮮、プレーオフ進出へ チョ監督「日本戦の経験、次につなげたい」

 18歳以下の「AFCユース選手権大会予選グループN」が11月23日から熊本県民総合運動公園陸上競技場で行われた。朝鮮代表は、初戦の台湾を5−0で下したものの日本に0−1で敗れた。グループ2位となったが、東アジアのグループL2位のグアムとグループM2位の香港に得失点差で上回ったため、本大会出場を賭けたプレーオフ(ホーム&アウェー)に進出することが決まった。プレーオフを戦う相手は、東南アジアの3つのグループ(I、J、K)の2位最上位のチーム。12月16日のミャンマー×マレーシア戦の結果次第で相手が決まる。

9人の世界大会経験者

果敢な戦いぶりで気を吐いた朝鮮チームのMF、キム・グンイル選手(左)

 近年、ユース世代の強化により成長著しい朝鮮。今年のU−17世界選手権でベスト8の成績をひっさげ、熊本に降り立った。

 今予選に参加した19人のメンバーの中には、U−17世界選手権を経験した選手が9人含まれていた。目標は2007年、カナダで行われるワールドユース選手権大会への出場。そのためにはまず今予選を勝ち抜き、来年10月にインドで行われるAFCユース選手権大会に出場し、4位以内の成績を収めることが必須条件になる。

 グループN。朝鮮は25日にチャイニーズ・タイペイとの初戦を迎えた。

 23日、日本はすでにタイペイを相手に5−0で勝利していた。日本を意識したのもあるだろう、朝鮮はタイペイ戦でとにかく点を取りにかかった。防戦一方のタイペイ。容赦なく攻撃陣がゴールに襲い掛かった。終わってみれば圧勝の5−0。シュート数も35本対3本。しかし、ベンチに引き上げる選手らの表情に安堵感はなかった。次の対戦相手はアジアユース本選進出を狙うライバルの日本。初戦は共にタイペイ相手に5点差の勝利という互角の結果で27日を迎えた。

関係者「実力は互角」

試合後、選手たちの健闘を称え、熊本市内の焼肉店で歓送会が開かれた

 休みが中一日とコンディション作りが難しい朝鮮。一方、ホームの利点を生かし、タイペイ戦から3日間をあけて試合に臨んだ日本。前評判では「実力は互角」との声が多かったものの、状況は朝鮮に不利だった。

 「中一日という厳しい日程で臨んだ試合だったので、前半で勝負を決めようと思った」―チョ・ドンソプ監督がこう語るように、朝鮮は前半から果敢に攻め立てた。

 しかし、なかなかチャンスをものにできないまま、逆にピンチを迎える。前半23分、日本のFKをクリアしようとした朝鮮DFのヘッドがゴールポストをかすめ、オウンゴールになりかけた。40分には右センタリングからヘッドで合わせられ、あわやゴールかと思われたが、GKのチュ・グァンミンがファインセーブで防いだ。

熊本県民総合運動公園陸上競技場には九州全域から300人の同胞が応援に駆けつけた

 後半。朝鮮は勝利への執念をむき出しに怒とうの攻めに転じる。東アジア選手権でA代表としてプレーした17番のMFアン・ジョンホ選手の鋭いドリブル突破、11番のFWパク・チョルミン選手の突破と強烈なシュートでゴールに迫った。日本の守備陣を翻ろうし終始先手に回った。

 しかし、194cmある日本の長身FWのハーフナーマイクが投入されると、流れが変わりだした。攻守の切り替えと運動量の落ち始めた残り5分の隙をつかれた。

 GKのロングキックをハーフナーが競って最終ラインの裏に落として味方選手へ。スペースに走りこんできた日本の選手にボールが渡るとGKと1対1となり、豪快に決められた。

 ボール支配率では上回ったものの、朝鮮にとっては1点が遠かった。選手らは終了のホイッスルとともにピッチ上に崩れた。しかし、九州全域から訪れた約300人の同胞らは、旗を振って健闘を称えた。

 九州青商会・熊本地域青商会会長の金慶大さん(38)が、「将来の可能性を感じさせてくれるとてもいい試合だった」と称えると、朝銀西・佐賀支店で働く金永皓さん(24)も、「うわさで聞いていた以上にレベルが高くて驚いた。将来が楽しみで試合内容もとても良かった」と語った。敗れたものの、同胞らは、朝鮮サッカーの復活に十分な手応えを感じたようだった。

 記者会見でチョ監督は、「出したかった技術、戦術はほぼ出せた。最後の5分間にポジショニングのミスから得点を許したが、いい経験になった。これから努力を重ねていけば、今後はいい成績を収められる可能性を感じ取った試合だった」と語り、「われわれのチームに関心を寄せていただき心から感謝します」と笑顔で日本の記者らにあいさつした。

 一方、日本代表の吉田靖監督は、「本当に厳しい試合だった。どちらが勝ってもおかしくない展開だったが何とか勝った」と胸をなで下ろしていた。

「一歩ずつ世界レベルに」

 27日の夜、市内の焼肉店で選手団を歓送する集いが催された。総聯熊本県本部の金末幸委員長、熊本県朝鮮商工会の朴英鉄会長、在日本朝鮮人蹴球協会の文章弘会長らがあいさつし、今後の健闘を期待すると語った。朝鮮サッカー協会副書記長のキム・ジョンシク団長も同胞らの期待に応えられるよう、次のプレーオフに勝って本選に出場することを固く決意した。

 今回、不発に終わったがU−17世界選手権でメディアに「朝鮮のロナウド」と評されたチェ・ミョンホ選手は、「本選には必ず出場する」とキッパリ。「とにかく次を見ていてほしい」とFWのパク・チョルミン選手も笑顔を見せた。

 チョ監督は、「今回の日本戦の経験を次につなげ、一歩一歩、世界レベルに近づけていきたい」と気持ちを新たにしていた。(金明c記者)

[朝鮮新報 2005.12.1]