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記者の特権

 思いがけないところで恩師と会った。その日の午前中、「そろそろ会いに行きたいな」と思っていたところ、夕方偶然、会ったのだ。しかし、全くの偶然というわけでもなく、取材先にいただけといえばそれだけだが、何だかとてもうれしかった。

 彼は、新年7日以上も過ぎて送った記者の無礼な「年賀メール」に丁寧に返信してくれ、「また会ってゆっくり話をしよう」と言ってくれた。それが実現するとは、考えてもいなかった。

 取材先で、普段会わない人に会ったときの喜びは格別である。

 先日地元の成人式の取材をしたときなどは、参加者のほとんどが知っている人で参ってしまった。成人になった者の父母はもちろんだが、成人になった者の中には記者の友だちの弟や妹が多かった。顔と名前で大体わかるもので、何だかとてもうれしくなってしまった。相手はそんなこと知る由もないので、さぞかしおかしく思ったことだろう。

 集まったアボジ、オモニたちもみんな声をかけてくれて、生活の心配をしてくれたり、これからもがんばるようエールを送ってくれた。

 特権だな、と思った。地元に住んでいても、なかなかこんな機会には恵まれることはないものだ。地元を離れて暮らしていると、たまに帰っても家族以外とはほとんど顔を会わさないこともある。それが、懐かしい人たちがたくさん集まったところで、自分が働いている姿を見せることができた。恥ずかしくもあったが、うれしくもあった。

 取材先だけではない。編集部にかかってきた電話を受けると、中級部の頃の先生だったこともあった。紙面で記者の名前を見つけるたびに電話やメールをくれる人たちもいる。

 こんなことがたびたび起こるからこそ、日々を楽しく過ごすことができるのだろう。記者の特権だと思う。(麗)

[朝鮮新報 2006.2.1]