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〈同胞法律・生活センターPART2 @〉 住宅

大切なのは専門家に見てもらうこと、自分でできる範囲でのチェックも

 1997年12月、東京都台東区にオープンしてから8年を経た同胞法律・生活センター。

 日本全国はもとより海外の同胞からもさまざまな相談が寄せられ、韓国や中国から来日したニューカマーや、帰化をして日本国籍を取得した人や同胞と関わりのある日本人など、幅広い人から相談を受け、その数は延べ6000件を超えている。

 これまで相続、遺言、戸籍、離婚、婚姻手続き、生活保護、自己破産など、同胞固有の複雑さをもつ相談をサポートしてきたが、センターはその解決の過程で、同胞のみならずほかの外国籍の人々、言い換えれば日本社会のマイノリティの生活と権利擁護にも結びつく先駆的な実践活動を行ってきたと言えよう。

 9年目の活動に入った今年、センターはより同胞の暮らしに密着した生活支援型のセンターを目指し、「ゆりかごから墓場まで」同胞の生活をトータルにサポートできる相談体制の拡充を目指す。

 センターにはこれまで集積してきた貴重な経験と相談解決のノウハウがあり、また何よりも弁護士、公認会計士、司法書士、税理士、弁理士、社会保険労務士、行政書士、ケアマネージャー、介護福祉士など多様な分野の相談員を備えている。その潜在力を大いに引き出し、同胞社会と個々人のニーズを敏感に汲み取り、直ちにそれを実践し充足できるような活動を多様な方法で大胆に展開していく。

 今年は医療、税金など生活に直結する諸制度の改正があり、ただでさえも苦しい同胞の暮らしにも大きな影響が見込まれる。センターでは暮らしをテーマに、そのつど有用な法律知識や情報を提供していきたい。また進行する高齢化の現実を踏まえ、高齢者あるいは高齢の同胞を抱える家族を対象に、各種の福祉情報の提供や、遺言の作成、後見(成年後見、任意後見)などをはじめとする法律サポート体制を準備していく。今年も大いに利用、活用してほしい。

 今号から「こちら同胞法律・生活センター PART2」を再開します。

 また、センターでは恒例の連続セミナーを開催する。

 第1回目は『在留資格と雇用』、25日(土)、午後2時よりセンター会議室にて。講師はセンター副所長で社会保険労務士の韓鐘哲さん。(同胞法律・生活センター)

住宅の耐震強度

 マンションの耐震強度偽装問題が世間を騒がせています。長い間、劣悪な住環境の中で暮してきた在日同胞にとってこの問題への関心が高いのは当然です。

 一級建築士には各自の専門分野があります。デザイン、構造、空調や給排水などの設備、電気関係の4つです。一般に基本設計のほとんどはデザインが担当します。大きな会社であればそれぞれの担当部署や担当者がその分野を設計し、一人でやっている事務所の場合は外注という形になります。耐震強度を偽装したとされているのは個人の構造を専門とする設計事務所です。

 企業は分譲などによって利益をあげようとします。マンションの場合、土地を買って販売価格を設定することで、先に収益を計算します。建築費用は収益の範囲で賄うことになるのでこのような事態が起こったのではないかと思います。

 住宅の耐震強度については、一軒一軒見なければわかりませんが、一つの基準があります。

 1981年に「新耐震法」が施行され、それ以前よりも耐震規定が厳しくなりました。この「新耐震法」が適用されている建物、大体82年以降の建物であれば地震に強くできています。

 自分のできる範囲でチェックすることも必要です。パチンコ玉やビー玉を転がしてみるのはいい方法です。

 床が傾いているということは、その建物にどこかおかしい部分があるということです。構造体のゆがみや地盤沈下など、原因はさまざまですが、床が傾いているとドアやサッシが開かなくなるなどの現象が必ず出てきます。体の疲れも倍増し、平衡感覚も鈍くなってきます。

 同胞の中には少々のことは我慢してしまう傾向がありますが、この場合はすぐ問題視するべきです。

購入する際の注意点

 実際に家やマンションを購入するときには、モデルルームなどの内覧会の際に設計図や構造計算書などを見てください。それも必ず専門家に見てもらうことです。現在は専門の会社も出てきていますので、依頼したほうが確実で結果的に費用も抑えることができます。

 工事過程を専門家に見てもらうのもいいでしょう。工事が終わったあとに見ても何もわかりません。工事中に骨組みなどがしっかり組まれているかチェックすることも必要です。

 また、その会社の実績を見てください。販売、施工、設計が別会社というケースも少なくありませんが、すべての会社を見ておく必要があります。

 その会社が顧客に対してどんなスタンスを取っているかも大事な要素です。なるべく顧客との信頼関係を重視している会社を選ぶべきです。

アスベストの問題

 アスベストは1975年頃まで熱に強い建築材料として多く使われてきました。それ以前に作られた、とくに鉄骨の建物にはアスベストが使われています。

 アスベストは発ガン物質で、飛散しているかどうかが大事な問題です。人があまり出入りしないような場所では表面に出ていることもあります(鉄骨造などの耐火被覆)。壁や天井などで覆われていたり、固めて使われていれば心配ありません。

 もし、飛散などがあれば除去、封じ込め、囲い込みなどの措置を講じなければなりません。

 75年頃まで建築関係の仕事に従事していた人、またアスベストの出る工場の近くに住んでいたことのある人などは、必ず検査を受けてください。労災病院などで無料で受けることができます。

 同胞たちは工場の近くに住んでいたり、関連する仕事に従事していることが比較的多いので思い当たる人は必ず検査してもらったほうがいいでしょう。(白哲洙、一級建築士、同胞法律・生活センター 住まいサポート部アドバイザー)

 同胞法律・生活センターでは住まいサポート活動を行っています。

 引っ越しシーズンの到来です。同胞にとって住まい探しは昔も今も困難がつきもの。センターでは同胞不動産業者や家主さんの協力のもと、住まい探しのお手伝いをします。また、弁護士、建築士、福祉住環境コーディネーター、宅地建物取引主任等、各分野の専門家の協力を得ながらさまざまな相談にもお応えします。まずはお気軽にお電話ください(TEL 03・5818・5424、平日の午前10時〜午後5時)。

[朝鮮新報 2006.2.7]