top_rogo.gif (16396 bytes)

埼玉・川口コリアン・ウィーク 地域に密着、さらに交流を

今年も総連、民団が共同参加

 地域に住む在日同胞と日本市民の友好を深めようと開催されている川口コリアン・ウィーク。昨年に続き総連埼玉南部支部と民団川口支部が共同で参加した。1日から6日まで行われた今年のコリアン・ウィークに総連側は、トック試食サービス、朝鮮将棋、ユンノリなどのコーナーに総連、女性同盟支部、朝青支部が参画した。埼玉初中生徒らによるミニ・コンサートが行われた3日、主催者の田代しんたろうさんら漫画家と総連、民団の「おとなりさん同士」が交流し、有意義なひとときを過ごした。会場となった埼玉県川口市の商店街、樹モールの燦ギャラリーには南朝鮮、日本の漫画家による年賀ハガキ140余点が壁一面にびっしりと展示されていた。

響き渡る民謡コラボ

田代しんたろうさん(左端)と埼玉初中の生徒ら

 樹モールに響き渡る「アリラン」「赤とんぼ」の民謡コラボ。買い物客をはじめ道行く人々が、「なに?」と足を止め聞き入る。

 視線の先には埼玉初中声楽部の朴啓順さん(中3)、申舜玉さん、陳英愛さん(中2)、姜玲淑さん、朴寿姫さん(中1)ら5人と朝鮮の民族楽器チョッテで美音を響かせている金星主さん(中2、吹奏楽部)の姿があった。

 「朝鮮バッシングがはびこる日本だけど、日本の生徒と変わらない私たちの姿をみて、市民が何かを感じてくれれば」(朴啓順主将)

 田代しんたろうさん(57)は、9年前から南の漫画家と年賀ハガキ展を催してきた。きっかけは、2002年サッカーW杯の日韓共催。共催が決まった96年、ソウルへ飛び、日本と南の漫画家らと市民の似顔絵を描き交流した。歴史的な史上初の共催を祝い、市民レベルでのアピールの仕方を探し行動、南と日本のメディアに取り上げられ、注目を浴びた。

北、南、在日の子どもたち(等身大自画像)によるアブジェ

 98年からは、日本と南の漫画家らに、当時、文化開放されていなかった日本と南の間で、サッカーのみならず漫画家同士の交流を進めていこうとの趣旨を説明、無償で年賀ハガキを描いてもらい、ソウルで年賀状展を開催した。現在では、日本と南で同時期に年賀状展を催している(原画はソウルで展示)。

 「日本人は在日の存在、日本に住むようになった歴史的経緯について知り、考えなければならない。それが国際人になるための第一歩」だと強調する。

 夢は「朝鮮の絵も持ち寄ってソウルで展示会を開くこと」だ。そのかけ橋になりたいと考えている。

 「何かをやろうと意欲をもって行動に移すと、その場にはひとつの目的に向かって尽力する人たちが集まってくる。そのような場をこれからも作っていきたい」とこれまでの活動について振り返る田代さん。

 妻のさなえさんも漫画家だ。「夫はもともとお金には興味がない人。やりたいことをやっている」とほほ笑んだ。

統一願うオブジェも

 燦ギャラリーから歩いて5分の、ますいいアールデザインルームギャラリーでは「南北コリアと日本のともだち−ツナガルタメノ。」展が開催されていた。「南北コリアと日本のともだち展」実行委員会が奨励している事業で、東京朝高美術教員の崔誠圭さん(38)が川口コリアン・ウィークとあわせ主催した。

 会場には北と南、在日の子どもたちの等身大自画像が、朝鮮半島の北側、南側、その間に配置、展示された。それぞれが糸で結ばれ、来場者がその糸に飴を結び、統一を願う子どもたちの気持ちと空間を共有できるように施されたオブジェはわかりやすく、目を引く。

 崔教員は「北、南、在日の子どもたちが統一祖国で遊ぶ雰囲気を表現したかった」と説明してくれた。

 南部支部の申銀三委員長は「地域密着型交流のひとつの形として意義は大きい。このような活動によって朝・日の理解がより深まっていくのだと思う。今後も交流を地道に積み重ねていきたい」と強調した。

 埼玉初中音楽講師の金成赫さん(25、声楽部顧問)は「今日のような対外公演を通じて生徒らが、同胞の多く住む川口で、その存在に関心を持ち、理解していこうとしている日本人がいるということを体感してほしい。また『アリラン』と『赤とんぼ』のコラボが、実はそう遠くない朝・日友好の関係を映してみせているということにも」と目を細めた。(李東浩記者)

[朝鮮新報 2006.2.15]