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第5回社協公開セミナー 「東アジアから見た日本」 歴史認識正し平和の道を

朝、中、日のそれぞれの立場から報告

第5回社協公開セミナー(19日)

 第5回在日本朝鮮社会科学者協会(社協)公開セミナーが19日、中央大学駿河台記念館(東京都千代田区)で行われた。会場は、金和孝社協会長をはじめとする社協会員、日本市民や南朝鮮の研究者、中国のジャーナリストら50余人で埋まった。セミナーでは、統一評論新社の李東埼副社長、東京華僑総会の陳慶民副会長、東京造形大学の前田朗教授らが「東アジアから見た日本」について朝鮮、中国、日本の各立場から報告した。セミナー後半には質疑応答が行われ、参加者らは靖国神社参拝、歴史教科書わい曲、領土拡張(独島など領有権主張)、自衛隊の強化などアジアを侵略した過去を持つ日本の現状について、客観的な視点を含んだ3つの報告に耳を傾けた。

 李副社長は、「朝鮮半島から見た日本」と題し、日本の対朝鮮政策の現状と問題点について分析、報告。@日本右傾化の動き、A朝鮮敵視と在日朝鮮人抑圧の強化、B懲りない日本の支配層、C歴史の教訓、D日本はなぜ、昔の道を再び歩みだしているのか、Eアジア人民と共に平和と民主主義の道を―との内容で具体的に言及した。

 そして坑内の有毒ガスを敏感に察知するカナリアを朝鮮にたとえ、「朝鮮は日本の民主主義に危険を知らせるカナリア」であると指摘し、それは「歴史の教訓である」と強調。日本は「平和憲法を守り米国のポチではなく、アジアの友になれ」と訴えた。

 陳氏は、「中国から見た日本」と題し、@国交正常化以降の中日関係の推移、A現時点の中日間を巡る未解決の諸問題、B中国の国家戦略と外交、C直近の靖国問題などに関する中国側の見解について説明した。

 国交正常化以降の中日関係の悪化については、個別事件のほかにマスコミの影響が大きいと指摘。現在、政治面と双方の国民感情悪化という負のスパイラルが進行中であると語った。そのうえで中国政府は、靖国問題において譲歩する考えはないと述べる一方、日本との関係回復への立場は揺るぎないと指摘した。

 さらに、現時点の中日間をめぐる領海問題など諸問題について、「互いの主張を理解しあえば解決は可能」であると主張し、「中国での対日感情は基本的に良い。反面、小泉政権の政治体系は異質であると考えている」と中国国民の意識について言及した。

 前田氏は、「内から見た日本」と題し、日本における植民地主義と自己植民地主義≠ノついて報告した。@日本が混乱し自滅しうる「植民地主義と自己植民地主義=v、A憲法9条がなくなりうる「自己植民地主義≠フ確立、定着」と日本の危険きわまりないシナリオに関し、具体例を示しながら独自の見解を述べた。

 さらに郵政改革、金融改革など米国追随の政策を進める日本政府はまさに自己植民地主義≠ナあると批判。日本の市民にとって「自己植民地主義≠フ自覚が再出発の道である」強調した。

 会場からは、「日本は心身ともに歴史の総括をやっていないため、アジアで孤立している。日本の歴史認識を正す運動を展開していこう」という意見も聞かれた。

 社協では、セミナーの内容をブックレットとして近日、編集、発行する予定だ。

 問い合わせ=在日本朝鮮社会科学者協会 TEL 03・3816・4335。(李東浩記者)

[朝鮮新報 2006.5.24]