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「明るさと素朴さ」

 30年ぶりに田植えをした。

 朝鮮にコメを送るため、市民団体が10年にわたって地道に行っているもので、西大阪朝鮮初級学校と大阪福島朝鮮初級学校の3年生の子どもたちが毎年参加している。

 田んぼに向かうバスの中の「見知らぬおじさん」を、子どもたちは警戒していたが、20分もするとすっかり仲良くなった。あげくのはてにはあだ名まで付けられてしまった。

 現場に到着し、久々の田植えに胸を躍らせていると、子どもたちが泥の中に入るのをかなり躊躇していた。が、一歩足を踏み入れた途端、泥特有の感触に歓声をあげながらはしゃぎ始めた。

 市民団体の人から説明を聞き、田んぼの真ん中から二手に分かれて田植えを始めると、これまた大はしゃぎ。苗を3〜5本ずつ丁寧に分けて植えていく姿は、なかなかさまになっている。しかし飽き始めるのも早く、終盤には苗を15本くらいまとめて植える始末で、先生に「算数できるの?」と怒られる始末。それでも最後までやり遂げ、苗がきれいに並んだ田んぼを眺める子どもたちの表情には、達成感が満ちあふれていた。

 朝鮮学校を訪れた日本の人々が、子どもたちのことを「素朴で明るい」とよく言うが、学校にいる時とは違う「素朴さと明るさ」を垣間見ることができた。

 別れ間際、「子どもたちの記念に」と先生に頼まれ、一緒に写真を撮ったまではよかったが、名刺までねだられたのには閉口した。くれぐれも「悪用」しないでね。(松)

[朝鮮新報 2006.6.7]