top_rogo.gif (16396 bytes)

〈広げよう 民族結婚の輪〉 愛知 中部センター 金順愛所長に聞く

民族結婚成就のために何が必要か

 民族結婚成就のためならばいつでも、どこでも駆けつける同胞結婚相談所の相談員に休日はない。土日はお見合い、平日はマッチングに相談と、携帯電話は鳴りやむことをしらない。同胞結婚相談中部センターの愛知同胞結婚相談所ではこの5年間に会員を約4倍に増やし、民族結婚を成就させた。今年もすでに何カップルかの結婚が決まっている。全国の相談所のなかでも目覚しい活躍と「照れ屋」で有名な、中部センターの金順愛所長に民族結婚成就のために何が必要かを聞いた。

情報と写真を収集

 金順愛所長は、12年間の女性同盟愛知県支部活動を経て5年前に相談所所長に就任した。地元では「有名人」だ。

 「あわてんぼうだから、この前は大変だった。相談所のキャンペーンを伝えようとして会員に『大売り出し中』と言ってしまった。そういう意味じゃないのに…」

 金所長は取り繕うのに大変だったと笑った。

 「照れ屋」と聞いていたが、とても気さくな人に感じた。

 「この前は『ホームラン』だった。普通はある程度の交際期間がいるのにトントン拍子でうまくいった。インスピレーションが合えば、こんなこともあるんですね」と話すが決して偶然ではないだろう。金所長の頭の中は会員のことでいっぱいだ。つねに「あの子はどうしよう」「あの子とあの子ならきっとうまくいくはず」と考えている。そんなとき、時間はあっという間にすぎてしまうという。

 金所長は会員を増やし民族結婚を成就させるために、青年たちが集う場には積極的に顔を出すよう心がけている。情報と写真の収集のためだ。

ワラに火をつけて

 金所長は結婚成就のためには父母の協力が不可欠だと説く。

 「仲人の半分は父母。当人の結婚であると同時に親同士の結婚でもある」と話す。

 お見合いが終わり「わからんてー」と話す子もいるそうだが、その場合、内心では「不満」ではなく「不安」を抱えているケースが多いという。ここで親が夢を与えてあげなければ、民族結婚はおろか、結婚さえままならない。さらに両家が良好な関係を保ち、歩み寄っていく過程で良い刺激を与え合えれば、通名を捨て本名を名乗る再出発の場にもなるという。

 子どもたちは、家にいれば衣食住のすべてが解決されてしまう状況ではなかなか家を出たがらない。

 ゆえに金所長は民族結婚のために親の背中を押すのも、重要な仕事と考える。

 十人十色の会員にたいしては経験を武器に相談員としての本領を発揮する。どうしたらいいのかわからない会員に対しては、電話、メール、積極的に会うようにと、状況に合った処置をともに講じる一方、結婚は2人で階段を一つひとつ上がっていくようなものだと教える。

 場合によっては「もっとプッシュしなさい」と、アドバイス。

 結婚問題の解決はウリハッキョを守る道に通じる。

 金所長は過去に日本学校に通う同胞学生をウリハッキョに編入させた経緯がある。その子は民族教育の中で育ち、このたびめでたく結婚を迎えることになった。相手は同胞青年だそうだ。

 「なんてやりがいのある仕事でしょう。こういうのがいっぱい詰まったのが総聯なんですね」

 金所長はまるで自分のことのように喜んでみせた。

 そして、「嫁ぐ日、嫁ぎ先の玄関でワラに火を付ける儀式をご存知? 帰るところはないという決意の表現なの。私は毎日そのつもり」と笑みを浮かべた。(鄭尚丘記者)

[朝鮮新報 2006.7.11]