top_rogo.gif (16396 bytes)

10人の日本市民が訪朝 「百聞は一見にしかず」

 【平壌発=李松鶴記者】高井伸夫弁護士をはじめとする日本人10人が8月12〜16日、朝鮮を訪問した。訪朝期間、一行は平壌市内をはじめ妙香山、板門店、開城などの各地を参観した。朝鮮のミサイル発射を口実に日本当局やマスコミが「反朝鮮キャンペーン」を展開し、訪朝を見合わせるよう圧力が加わる中で実現した。メンバーの高井伸夫氏、山下靖典氏(有限会社Y&Y代表)、中原亨氏(銀座メディカルセンター院長)に訪朝の感想を聞いた。(写真はすべて高井氏提供)

報道とは全く違う

チュチェ思想塔を背に記念撮影をするメンバー

 今回訪朝したきっかけについて、高井氏は「97年4月28日から5月3日にかけて朝鮮を訪問した際に再訪朝を約束した。その後、さまざまな事情から訪朝することができず、今回ようやく約束を果たすことができた」と語った。

 今回の訪朝の感想については、「とにかく明るくなった。具体的には人々の表情が明るくなり、私たちともいろいろな会話をするようになった。同時に、朝鮮の人々、とくに女性はユーモアがあると思った」と話す。また、以前のイメージでは「とても厳しくて近寄りがたい存在」だった板門店の軍人たちにも、「日本のテレビに出たことがあるのですが、私の顔を見たことがありますか」などと話しかけられた。とても和やかだったことに驚いたという。

 その一方で自然の美しさ、緑の多さとともに、平壌地下鉄、万寿台議事堂、人民大学習堂などすべての建物が豪華で美しかったことが印象深いと話す。

普賢寺の売店にて(左は高井伸夫氏)

 今回、初めて訪朝した山下靖典氏は、「『百聞は一見にしかず』ということを、身をもって感じた。日本での朝鮮に対するイメージといえば、『脱北』『ミサイル』『拉致』など否定的なものばかりだが、実際に来てみると明るくて、穏やかで、静かだ。イメージギャップに当初はとまどった」と述べながら、「プエブロ号が展示してある場所がシャーマン号を撃沈した場所だという話を聞き、1850〜60年代に北東アジア全体が米国に揺さぶられていたということをあらためて実感した」と語った。

 同じく初訪朝の中原亨氏も、「日本で報道されているのとはまったく違うので、とにかくびっくりした。日本の報道がどれだけ片寄っているかということを知った。日本のジャーナリズムのゆがみに怒りすら覚える」と語った。

多くの人が来ればいい

平壌市内の中学校を訪れたメンバー

 高井氏は今回の訪朝に際してマスコミにも同行を依頼したが、一社も応じなかったのが残念だと話す。そのうえで、「3度目の訪朝の際にはぜひともマスコミが同行して、朝鮮の真の姿を日本に伝えるよう努めたい」と語った。

 中原氏は、「今回の訪問で一番感じたことは、最近は何の哲学も持たずに生活している日本人が多いが、朝鮮の人々は確固とした哲学、思想を持って生活しているということ。哲学、思想を持った人間は困難にぶつかっても挫折しない。朝鮮の人々がしっかりとした考えを持ってがんばっているのはとてもすばらしいことだ」とふり返った。

 山下氏は、「母は昭和初期、新義州の女学校に1年間通っていたことがある。冬に鴨緑江でスケートを楽しんだことなど、そのときの思い出をよく聞かせてくれた。今回、母が幼い頃を過ごした地に来られたことで、親孝行の一つになったのではと思っている」と感慨深げに話した。

 今回、訪朝した人々は、「百聞は一見にしかず」だということを強調しながら、今後も多くの日本人が朝鮮に来て真実の姿を見ればいいと口をそろえた。そうすることで、硬直した朝・日間の関係もおのずと解決するだろうと語った。 

[朝鮮新報 2006.8.31]