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日朝友好の「マニュアル」

 滋賀、熊本、鹿児島へと日朝友好の現場を追った。短期(単騎)強行軍の日程、移動中にふと思う。同胞と一緒の時間は疲れないんだな、と。同胞の笑顔に触れると勇気と元気が湧いてくる。これは不思議な本当の話。「記者流夏バテ解消法」とでも名付けようか。うん、それがいいと車中、一人うなずくとまた、元気が湧いてきた。これも本当の話。

 今回の取材先では同胞はもちろん、日本の人々と接する機会が多く、日朝友好のあるべき姿の一端に触れたように思う。彼らの力強い励ましの言葉が心に響く。

 「差別を無視する社会に怒りを覚える」「人間の尊厳、重さは平等」「これ以上、在日の子どもたちに寂しい思いをさせたくない」「失望せず絶望せず元気を出してほしい。いつでもそばにいる」…。

 なかでも鹿児島県出水で出会った友好の会、事務局長の出会い頭の一言と、ゴツゴツした掌の感触が忘れられない。

 彼は「そんなに力んでどうする」と言い、笑顔で手を差し伸べてくれた。緊張しているつもりはなかった。だが、もしかしたら、どこかで「線引き」をしていた自分がいたのかもしれない。

 肩も肘も張ることはない、構える必要はないのだと「草の根日朝友好」は教えてくれる。

 互いを理解し尊重する。

 歴史を直視し手をつなぐ。

 日朝友好の「マニュアル」はそんな「当たり前の良心」にあるはずだ―きっと本当の話。(丘)

[朝鮮新報 2006.9.5]