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兵庫・西神戸、須磨垂水 高齢同胞福祉施設開設

「イオ神戸」−同胞社会の継承を、1世に感謝 癒しの場に

 兵庫・西神戸地域で高齢同胞を支援しているNPO法人コリアン生活センター「イオ神戸」のデイサービス施設が開設した。3日、施設が入る西神戸朝鮮会館で開設記念セレモニーが行われた。「イオ神戸」理事長の金椿権・総連西神戸支部委員長と副理事長の姜斗基・総連須磨垂水支部委員長をはじめとした理事ら、総連兵庫県本部の李文伊委員長をはじめとした職員と、同胞、日本人ら約250人が参加した。

契約率100%

「イオ神戸」開設記念式のようす

 セレモニーでは理事らがテープカットを行い開設を宣言したあと、参加者らに施設内が公開された。

 同施設は、「1世同胞たちに感謝し癒しの場を提供しよう」という、西神戸、須磨垂水の同胞らの思いと尽力で開設された。

 デイサービスを行う県下の高齢同胞福祉施設としては、2004年12月にオープンした西宮「アリランはんしん」に続き2番目。100坪の敷地面積にオンドルと畳(掘りごたつ)、健康、運動器具、ベッド、車椅子、2カ所の浴室、カラオケ、ビデオ装置など、充実した設備は突出した規模を誇る。

施設はオンドルと畳、カラオケ、健康器具など設備が充実している

 すでに体験入所が行われ契約率は100%。そのうち半数が男性で、灘区や明石市の同胞がおり、日本人の契約者もいる。朝鮮料理メインの食事がとくに好評だ。

 施設を見学した参加者らは「想像をはるかに上回る広さ。清潔ですばらしい」「多くの人が利用したがるのでは」などと口々に語った。ハラボジ、ハルモニたちは健康体操を体験し食事をしたあと、兵庫朝鮮歌舞団団員たちの民謡に合わせオッケチュムを踊り喜びを分かち合った。

 女性同盟支部顧問の姜仁淑さん(90)は「食事もおいしく、職員も親切で、気分が良い。支部委員長をはじめ若い人たちが団結して一世のために建ててくれたことに感謝している」と語った。

同胞の努力が一つに

介護スタッフの中には美容師も

 金椿権理事長は「『イオ神戸』という名称には、われわれを育ててくれた1世に感謝し、1世の同胞たちが築いた伝統と相互扶助の温かい同胞社会を継承していこうという思いが込められている」と語る。

 1995年の阪神淡路大震災でとくに大きな被害を受けた西神戸、須磨垂水地域では、一人暮らしの高齢同胞の割合が増加するなどし、高齢同胞福祉問題への要求が高まっていた。異国の地でさまざまな苦労を味わい、さらに震災でつらく悲しい被害を受けた同胞たちに「癒し」や「元気」を与えたいという思いが広がっていた。

 西神戸、須磨垂水の両支部では、「温かい同胞社会を築き発展させてきた一世たちに感謝する」気持ちをもって、高齢同胞福祉に力を注いできた。

 地域の長寿会「トラジ会」は、民族教育を受けた同胞や過去に繋がりがあった同胞らを捜し、食事会や娯楽会を開いた。交流を続け、月1回のミニデイに発展させた。支部では昨年3月にNPO法人認可を取得。支部委員長らは同胞の家を訪問し開設を呼びかけ、専門家を集めた。

 昨年、この地域では西神戸初級学校創立60周年を記念して校舎改修のための大規模な募金が行われたばかりだった。だが、開設にかける支部の思いを理解し、両地域の商工会の理事らをはじめ多くの同胞が出資、賛助の形で協力した。女性同盟やすべての分会からも協力があった。施設内の家具や備品のすべてが同胞らの協力によって用意された。

 「トラジ会」の金在根会長(78)は「支部を中心とした商工会の尽力、多くの同胞の隠れた努力が一つになって今日、実を結んだ」と笑顔で語った。

開設を機に決意

 開設記念セレモニーでは金椿権理事長が開設までの経過を説明し、開設に尽力した同胞らの熱意に応える決意を述べた。また、李文伊県本部委員長、渡部登志尋県議ら4人の来ひんがあいさつし、兵庫県知事、神戸市長から送られてきた祝電が紹介された。参加者たちは、女性同盟が用意した料理を食べながら開設を祝った。

 神戸市福生会の中辻直行理事長は「2世、3世がこの施設で1世と接することで、自分のルーツを再確認し、思いを受け継いでいってほしい」と述べた。支部委員長らの熱い思いに応え、ボランティアで施設を手伝う看護師の姜昌仁さんは「足が痛くて出歩けない、話し相手がいない、そんな1世の同胞たちが心を開ける場所にしたい」と語った。「イオ神戸」副理事長の金秀機・総連西神戸支部副委員長は「先輩たちがこの地に立派な会館を建ててくれたから施設を開設することができた。デイサービスを機に西神戸、須磨垂水地域の運動をより高めていきたい」と語った。(李泰鎬記者)

[朝鮮新報 2006.9.8]