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外に出て見えるもの

 9月13〜22日に行われた第10回平壌国際映画祭。今年の最優秀賞はドイツの作品「ナポラ」だった。

 「ナポラ」とはNational Political Academyの略で、第2次世界大戦当時、ナチスドイツが青年たちを戦争にかりだすために設けた「エリート養成校」のこと。 ボクシングの才能を認められ同校に入学した主人公。貧乏な暮らしから抜け出し両親を楽にしてあげようと入学したものの、人を人とも思わない幹部たちの姿やさまざまな出来事を通じてナチスに幻滅し自主退学する。

 ラスト近くでは、こうした「学校」が当時、1万5000校もあったことにも触れており、過去の過ちを二度と繰り返さないというドイツの人々の思いが伝わってくる。

 映画を見ながら、日本でこのような映画が作られたとしても、あまり大々的には上映されないのではないかと考えてしまった。

 平壌にいながらも日本の殺伐とした雰囲気は、すべてとは言わないまでも伝わってくる。総連中央の徐萬述議長宛に送られた脅迫文は、「反北朝鮮、反総連雰囲気」がどの水準に至っているのかを如実に物語っている。

 過去の過ちを反省するどころか、それを覆い隠すために、逆に朝鮮に対する「強硬政策」を推し進める日本と、自らの過ちを反省し現在もそれを推進しているドイツ。将来的にどちらの方に希望があるのか。考えるまでもないことだ。一歩外に出てみると、日本では見えなかったものが見えてくる。(松)

[朝鮮新報 2006.10.2]