top_rogo.gif (16396 bytes)

〈同胞法律・生活センターPART3 D〉 相続

 同胞法律・生活センターに寄せられる相談の中で、毎月一番多いのが相続に関するものです。

 同胞の場合、相続人が朝鮮の北南におり、自由に北、南、日本を往来できないため遺産分割協議に手間取ったり、手続きに必要な書類を準備するのにかなりの時間を要したりと、何かと面倒になりがちです。おまけに、やっとのことで集めた書類をみると、生年月日や名前の漢字が違っているということも珍しくなく、相続の手続きはとかく複雑になりがちです。

 センターに寄せられる相談もこのような手続き上のさまざまなトラブルに関するものが少なくありません。しかし最近は、バブル経済が崩壊して以降、長引く経済不況のせいか、事業の経営不振あるいはクレジット会社、「サラ金」からの多重債務など、相当な負債を残して亡くなった人の相続に関する相談も目立ちます。

 Q 先頃、アボジ(外国人登録上の国籍は朝鮮)が亡くなりました。生前、ギャンブルなどでお金にはだらしのなかったアボジにはかなりの借金があり、相続人である母と私、そして妹の3人全員で相続放棄を考えています。手続きはどのようにしますか? またその後になって、もし債権者から支払の督促などがきたらどうすればよいでしょうか?

 A 相続放棄の手続きは家庭裁判所で行います。手続きが無事終われば、アボジの債務について返済の義務はありませんので、安心してください。

 この事例のように、被相続人が共和国の法を本国法とする場合は、共和国、対外民事関係法第45条の規定により、居住国である日本の法律が準拠法となります。つまるところ日本の民法の規定に基づいて相続放棄の手続きを行うことになります。

 手続きは、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で、相続放棄の申述書(家裁にあります)に、被相続人との関係や相続放棄をする理由、相続財産の概要など必要事項を記入して提出します。その際、申述人(放棄する人)の外国人登録原票記載事項証明書(備考欄に死亡したアボジの名前を記載してもらうこと)、被相続人の死亡の事実が記載された外国人登録原票記載事項証明書、本籍地に戸籍がある場合は戸籍謄本、収入印紙代800円などを準備して提出します。

 申述書が受理されると、相続放棄の手続きは終了です。手続きが終了すると、借金などの請求に対しても対抗できます。別途、法務局などに報告する必要はありません。

 支払の督促や取り立てがきた場合は、手続きを行った家庭裁判所で「相続放棄申述書受理の謄本」もしくは「相続放棄申述受理証明書」を交付してもらい、当該債務につき放棄したことを証明します。

 しかし、放棄した相続債務は法定相続人の順位にしたがって次の順位の相続人に請求がいきます。たとえば親、兄弟、兄弟の子(日本、民法が準拠法となる場合)などに順に請求される可能性があるので、次いで放棄手続きの必要が生じるでしょう。またその場合、「相続の発生より3カ月以内」という期間も関連しますので、その点を十分考慮する必要があります。また、被相続人の本国法が「韓国」の法の場合は、相続放棄の対象者が異なるので注意が必要です。同胞法律・生活センターにご相談ください。(金静寅、同胞法律・生活センター事務局長)

※NPO法人同胞法律・生活センターでは、暮らしをテーマにした各種の講座、学習会を企画し、そこに適切な講師を派遣します。地域の同胞を対象にした講座等の開催を検討されている総連本部、支部の担当者のみなさん、お気軽に事務局までお問い合わせください。TEL 03・5818・5424、FAX 03・5818・5429。

[朝鮮新報 2006.11.14]