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第18回「日朝友好京都・おんなのつどい」 パレスチナの現実から考える日朝

岡真理・京都大助教授が講演

プロジェクターを使っての講演は「ていねいでわかりやすかった」と好評を得た(10月28日、京都朝鮮会館)

 第18回「日朝友好京都・おんなのつどい」が10月28日、京都朝鮮会館で開かれた。集いは在日本朝鮮民主女性同盟京都府本部、日朝友好促進京都婦人会議、戦争への道を許さない京都・おんなの集い連絡会の共催で、地域の年中行事として定着している。今回の集いには58人が参加した。男性の参加者も多数いた。

 集いでは「パレスチナの現実から考える日本・朝鮮」をテーマに、京都大学大学院人間・環境学研究科の岡真理助教授が講演を行った。

 岡さんはアジアの西と東で位置するパレスチナと朝鮮について触れ、日本はまさに「東アジアにおけるイスラエル」だとの認識を示しながら、「米国の存在によって日本とイスラエルはその植民地主義的暴力の行使に対する責任を自らに問うことを免れ続けてきた」と指摘し、アジア大陸の東西両端にある「異常な」国家であるイスラエルと日本の実相は「米国の戦略的基地」であると述べた。

 さらに同氏は「アラブVSユダヤ」という人種対立は、異なる信仰の者たちが、「アラブ人」として暮らしていたパレスチナに、非ユダヤ人を排除する「ユダヤ」国家を建設するというプロジェクトを外部から持ち込んだことに起因すると指摘。パレスチナの地にユダヤ人国家イスラエルが1948年に造られ、千数百年にわたり歴史を紡いできたパレスチナ人共同体の歴史が破壊され、共生社会の歴史に終止符が打たれたと強調した。

 そして、パレスチナ人とは植民地主義的暴力によってワタン(郷土、祖国)を奪われた人々であると説明し、パレスチナ問題の本質が、メディアのゆがんだ報道によって正しく理解されていないと断じた。

 岡さんは「『暴力の連鎖』とよく言われるが、決して同じ暴力ではなく、パレスチナ人が自爆すると『テロ』と呼ばれ、イスラエルがしてきたことは国家テロと呼ばれない。『暴力の連鎖』とひとくくりに語られることで、そこに生きる人々の『絶望』やその背景が隠され、テロを口実にしたイスラエルの過剰攻撃を支えている」と非難した。

 参加者から和解の可能性について問われ同氏は「侵略しているほうが共存の可能性を否定しているかぎり不可能」とし、対等な立場での対話の重要性について触れ、信頼醸成は歴史的な不公正を認めたうえで成り立つと答えた。

 参加者は「パレスチナと朝鮮を置き換えて考えることで理解が深まった」「占領が人間性の否定であることを知った」「目からうろこ」などと感想を語った。

 岡さんは「パレスチナ問題の研究を通じて近代植民地主義の視点から朝鮮問題を見るようになった。知ることで日本、朝鮮、アラブにたいする理解が深まる。共にたたかう人がいることは双方の力になる。正しい理解への一助となりたい」と語った。(鄭尚丘記者)

[朝鮮新報 2006.11.14]