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〈同胞法律・生活センターPART3 E〉 医療費

 日本当局による一連の「制裁」騒動により、在日同胞が海外渡航をする際に必要な再入国許可の交付につき何かと嫌がらせがある中、旅行をしばらく見送ったりためらう人もいるようです。しかし、商用、研修や留学あるいは国際会議等の参加など、さまざまな所用で海外に出かける人はたくさんいます。

 海外に出る際には、万一の事故や病気などに備えてあらかじめ旅行代理店などを通して海外旅行保険などに加入する人も多いでしょう。しかし、環境の変化による体調不良や思わぬケガなどで渡航先の病院で手当を受けざるをえなくなり、予想外の高額な治療代を請求されて驚くということも少なくないようです。

 Q 従姉妹の結婚式への参加を兼ねて家族ではじめての海外旅行をしました。まとまった休暇を取るためかなりオーバーワーク状態で出かけたせいか、現地で高熱のため緊急入院となりました。点滴を受けて薬をもらい2日間ほどで退院できたのですが、病院代に18万円もかかり驚きました。日本の健康保険で還付があると聞いたのですが…。

 A はい、海外医療費制度があります。海外で病気やけがで治療を受けた場合、日本で加入している国民健康保険や社会保険から給付を受けることができます。現地ではいったん全額自己負担した医療費につき、日本で払い戻しの手続きを行うことで支払った医療費の一部が支給される仕組みです。

 支給の対象は、日本国内で同様の病気にかかった場合に健康保険で扱われる範囲内のものです。そのため保険のきかない治療や美容整形、歯の矯正、差額ベッド代、また臓器移植など、もともと治療目的で渡航し受けた治療などについては適用されません。

 支給される金額は、日本国内の健康保険を基準として算定されます。そのため、現地の病院で実際に支払った金額の7割(3歳未満は8割、老人医療受給者の場合は9割または7割)相当額が戻るわけではありません。すなわち日本で治療を受けた場合いくらかかるかが前提となります。同じ病気でも治療の内容や治療費は国ごとにそのレベルも金額も異なるので、場合によっては多額の自己負担が生じることもあります。

 払い戻しの手続きに必要なのは、@現地の病院の領収書で明細が記載されたものとその翻訳文、A医師の診断書あるいは診察内容明細書とその翻訳文、B保険証、C印鑑などです。手続きは、国民健康保険に加入している場合は市町村役場に、社会保険の場合は最寄りの社会保険事務所で行います。(NPO法人同胞法律・生活センター事務局 金静寅)

※NPO法人同胞法律・生活センターでは、暮らしをテーマにした各種の講座、学習会を企画し、そこに適切な講師を派遣します。地域の同胞を対象にした講座等の開催を検討されている総連本部、支部の担当者のみなさん、お気軽に事務局までお問い合わせください。TEL 03・5818・5424、FAX 03・5818・5429。

[朝鮮新報 2006.12.12]