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東京で「慰安婦」被害女性の証言集会 「解決のため何をすべきか」

日本、南朝鮮 各地で同時企画

 「ある『慰安婦』被害女性の現在−61年目の訴えと向き合う」(主催=旧日本軍性奴隷問題の解決を求める全国同時企画・東京実行委員会)が11日、早稲田大学で行われた。集会には「慰安婦」被害者の姜日出ハルモニ(78)と南朝鮮の「ナヌムの家」の職員として働く村山一兵氏(26)が講演した。

「人を殺そうとしている」

日本政府の対応を厳しく非難する姜日出ハルモニ

 「小泉首相の時から、日本はまた戦争して人を殺そうとしている。小泉も安倍も口ではいいことを言っているが、行動は一つもともなっていない」

 姜日出ハルモニはこのように述べながら、元「慰安婦」への謝罪と補償をはじめとする過去の清算と正面から向き合わない日本政府の対応を厳しく非難した。

 また、米下院国際関係委員会で9月に採択された第2次世界大戦当時の日本の「従軍慰安婦」動員に関連した決議案(下院決議案759)の下院通過を阻止するため、日本政府が毎月約700万円を使ってロビー活動をしている事実に触れながら、「日本国内に、家もなく苦しんでいる人がどれだけ多いのか。そんな人たちには救いの手すら差し伸べず、自分たちの過去の過ちを認めまいとカネを使うような政府が果たして政府と言えるのか? ここにいる若い学生たちは頭がいいからわかると思うが、このまま放っておいたら私たちだけでなく、日本人も死ぬことになる」と強調した。

 そのうえで、「あなたたちには何の罪もないから、みなさんの前で自分が受けた苦しみを話すのはとても胸が痛む。でもみなさんが私の話を参考にして、二度とこのようなことが起こらないために何をすればいいかを考えてほしいから話している。みなさんが勉強して多くのことを知れば、絶対に昔のようなことは起こらないだろうし、そうなった時に初めて両国間の真の友好関係も築ける」と語った。

 一方、村山一兵氏は「ナヌムの家」で働くことになったきっかけについて述べたあと、「いわゆる『慰安婦』問題は、東アジアひいては東南アジアまで含んだ国際的な問題。高齢のハルモニたちが証言するのはとても難しいということを知ってほしい。『ナヌムの家』にいるあるハルモニは、昔の話をした晩には必ず当時のことを夢で見て、つらい思いをしている。問題は、61年経った現在でも、被害者本人が証言しなければならないということ」だと強調した。そして「本来なら、社会的に彼女たちを支えなければならないのに、そうなっていない。今日ここに参加した人たちは、姜日出ハルモニの証言を聞いて何をなすべきかを考えてほしい」と訴えた。

04年からさまざまなイベント

集会には学生たちが多数参加した

 「旧日本軍性奴隷問題の解決を求める全国同時企画」は、いわゆる「慰安婦」問題の解決を目指して、被害女性による証言集会などのイベントを同時期に各地で開催する企画だ。

 「ナヌムの家」を訪れた学生たちの呼びかけから始まったこの企画は、2004年12月に新潟、東京、神奈川、静岡、京都、大阪、広島、高知、福岡、沖縄の10カ所で行われたのを皮切りに、05年10月には9カ所で開催。今年は南朝鮮との同時開催が実現し、11月中旬から12月上旬にかけて南朝鮮の20カ所、日本の8カ所で証言集会などのイベントが行われた。

 東京実行委員会は1回目から参加し、04年にはフィリピンから被害女性を招いて法政大学で証言集会を開いた。また、05年には朝鮮から被害女性を招こうと準備を進めたが渡航許可が下りず、被害女性に関するシンポジウムを開催した。

 今年は、南朝鮮と日本の大学生を対象に、毎年春と夏に「ナヌムの家」で行われるワークショップであるピースロードに参加した学生たちを中心に、旧来のメンバーと合流する形で実行委員会を再結成。「ナヌムの家」に滞在してハルモニたちと交流し、そこで聞いたハルモニの話を多くの人に聞いてもらい、日本軍「慰安婦」問題について考えてもらおうと集会開催のための準備を進めてきた。

 主催者側では今後も、日本軍性奴隷問題の現在を知り、その解決のために何をすべきかを世代や地域を越えて共に考える場を提供していく予定だ。

[朝鮮新報 2006.12.18]