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埼玉朝鮮幼稚園 早春の園庭で竹馬遊び、キーワードはバランス感覚

 早春の柔らかな光が園庭にふりそそぐ2月25日、久しぶりに埼玉朝鮮幼稚園に行ってみた。

心と体の発達

かわいらしい外観に、訪れる人の心もなごむ

 子どもたちは、昨年から導入された竹馬乗りに興じながら、うまくバランスをとって、元気よく遊んでいた。

 張仙玉園長(62)によれば、「『人格を育てる最初のキーワード』として心と体のバランス、平衡感覚を養う意味で竹馬遊びに着眼した」という。子どもをとりまく状況が日々悪化して、凶悪事件が続出する日本社会。そんな中で、心身とも健康な子どもを育てていくために、同幼稚園でもさまざまな模索が続いている。

竹馬に乗って自由自在に園庭をかけめぐる子どもたち

 昨年7月、父親たちが総出で竹馬作りに加わり、51体の竹馬を全部手作りして、妻や子どもたちから大いに感激され、「アッパはやっぱりすごい」と見直されたというオマケまでついた。

 「家庭での父親の役割に加えてアッパたちが、忙しいなかで、日曜日に園に出て、ペンキ塗りやさまざまな小道具作りに協力してくれている。オモニ会の日常の献身的な協力とともに、両親のそんな姿が、子どもたちによい影響を与えている」と張園長。

和気あいあい、でもどの子どもも遊びながら自己主張をしっかりする

 「いま、子どもの少子化をめぐって、経済界の『子どもの争奪戦』が凄まじい。習い事や知育偏重教育がより低年齢化している。そんな情報に振り回されることなく、民族の心、健康な体を持った子どもを育てるために、地域の同胞社会、父母、園の緊密な連携は欠かせない」と強調する。

 寒くても半袖の体操服で元気に走り回る子ども、お昼に出された給食の鳥の唐揚げや野菜をパクパク平らげる園児たち。

「生きる力」を

 園が子どもの「生きる力」を育てるために、長年力を注いできたのが「食」の教育である。土を掘り、種を植え、水をやり、年間を通じて野菜作りに参加するだけでなく、収穫した野菜でキムチ漬けやチヂミ焼きにも挑戦してきた。こうすることで、インスタント食品にはない、本当のおいしさを感じ、また、伝統的な食生活の豊かさに目覚めていく。さらに食べ物を口にいれるまでのさまざまな人たちの苦労を思いやる気持ちも育つという。

学芸会に向けて猛特訓中の子どもたち

 そんな独創的な保育姿勢は、近隣の日本の学校でも評判を呼んでいる。「3デイズ夢ワーク」というプロジェクトで、日本の中学一年生たちを毎年、受け入れて異文化体験に協力してきた。ある女子中学生は、登校拒否の傾向にあり、普段は心を閉ざしていたが、3日間の園での実習があまりにも楽しくて、子どもたちと元気よく遊び、世話もした。その様子を見にきた担任の先生が「心から感動しました。小さな子どもたちの気迫あふれた明るさが、彼女の閉ざしていた心をほぐし、幸せな気分にしたと思います」と感謝の弁を語ったという。

多様な人たち

 園には、南出身の父母や、オーストラリアへの留学中に出会って結ばれた南と在日の両親、在日の父と日本の母たちもいる。さまざまな人たちが、協力を惜しまず、人間性豊かな子どもを育てようと奮闘する様子が頼もしかった。(文=朴日粉記者、写真=文光善記者)

[朝鮮新報 2006.3.3]