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九州中高創立50周年記念行事&大同窓会 「日本で一番の学校にしたい」

久しぶりに集まった同窓生たちと「乾杯!」

 既報のように4月16日、九州朝鮮高級学校創立50周年記念行事と同校卒業生の大同窓会が行われた。この日の行事では1部の記念大会に続き、2部では同校の半世紀におよぶ歴史を凝縮した写真がスライドで上演され、生徒たちの芸術公演が行われた。3部の大同窓会では1期から今年卒業した48期卒業生たち、歴代校長や教育会会長、元教職員らが紹介され、会場がわき返った。

 前日まで降っていた雨もあがり、イベント当日(16日)の空は真っ青に晴れた。福岡・北九州市折尾に立派な校舎を構える学校の校門を久しぶりにくぐった卒業生、同胞たちは懐かしい顔を見つけ「久しぶり」「本当にうれしいよ」と、いたるところで握手を交わしていた。

 総連福岡県本部では今回のイベントを県下同胞の力で輝かせようと、昨年10月から200日運動を繰り広げた。同胞たちは学校へ教育設備を送ろうと、居住地域の分会を中心にプルタブとベルマークを集めた。この運動で1位に輝いたのは八幡支部屋敷分会。以前の北九州朝鮮初中級学校の所在地だった。同分会の周黄順さんは「屋敷分会では学校があったときは毎年教育機材を寄贈していた。同胞の数は多くないけれど、学校への協力は惜しんだことがない」と語った。同胞たちは学校が折尾に移転して少し寂しさも感じたというが、今回のイベントをきっかけに、また学校のために役立てればとはりきったという。

世代を越え

全国から卒業生が駆けつけた

 植民地時代、故郷を追われ、玄界灘を渡り九州や山口の炭鉱や軍需工場で苦労を重ねてきた1世たちの願いはただ一つ、子どもたちに民族教育を受けさせることだった。

 「50年前、ここが山であそこが池だった」。学校建設に携わった総連福岡県本部の趙鐘泰顧問(83)は奔走した過ぎし日を回想しながら、現在も子どもたちが誇らしげにウリマルを使いウリノレを歌えるのは、学校を建て民族教育を守ってきたからだと語った。

 1956年4月10日、九州中高は2階建ての木造校舎で210余人の入学生を迎え開校した。その後祖国から初めて送られてきた教育援助費と奨学金、そして同胞たちの力で、高級部第1期生を卒業させた1959年には3階建て鉄筋校舎を建設した。2004年には、最先端の教育設備を整えた九州朝鮮中高級学校・北九州朝鮮初級学校の新校舎が完成した。

歴代の教職員たち

 同校6代目校長、本部教育部長を歴任した朴道一顧問(72)は「今、息子は北九州初級の校長をし、8人の孫はみなこの学校に通っている。私たちの苦労は、今立派に実っている」と感慨深げに話す。

 同校が半世紀にわたり送り出した卒業生は約4000人。現在さまざまな分野で活躍している卒業生たちもこの日、会場で笑顔を見せていた。

 プロミュージシャンとして活動する李綾香さん(40期)はこの日、第3部で歌を披露した。「旧校舎から新校舎へと学校の姿は変わっても、私たちの中につながっているものは変わらない。同級生や地元の同胞たちの前で歌うことになり緊張するかと思ったが、むしろとてもリラックスして歌えた」。

心のよりどころ

イベントの最後に謝辞を述べる金鐘大校長

 同校卒業生たちは学校創立20周年に際し、九州朝鮮高級学校連合同窓会(「九朝会」)を結成した。「九朝会」は、卒業生たちを期別にまとめ、後輩たちによりよい教育環境を与えるために尽力してきた。

 「同胞たちの熱意は20周年、30周年行事のときに比べても、いささかも衰えていない」と語る2期卒業生の姜永吉さんは「九朝会」初代会長として20年間活動した。

 「九朝会」は昨年の2月、総会を行い、新しい役員を選出。今回のイベントは新役員による初の大イベントだった。同会では当日、今回最も協力したとして12期と28期に「優秀卒業期賞」を授与した。

 12期卒業生の朴君子さんは「2年に一度同窓会をしているが、今まで一度も参加できなかった人が今回初めて学校支援に乗り出した」とうれしそうに語った。その理由は卒業後20年以上経ってもやはり気持ちが学校にあるからでは、と言う。

学生による合唱

 「義理、人情の期」−自分たちの期をこう呼ぶ28期の中で最近必ず話題にのぼるのが、子どもたちの教育問題だという。「同級生の多くがウリハッキョの学父母になり、親子でつながっているからそのきずながもっと深まっていくようだ」と、代表の金成雄さん。

 同校の金鐘大校長はこの日、イベント終了後にこう語った。「卒業生たちが母校を忘れずに、こうやって祝ってくれて本当にうれしい。1世が築き上げた大切な財産であるウリハッキョを同胞たちと力を合わせ、日本で一番の学校にしていく。母校は学び舎であると同時に同胞みんなの『心のよりどころ』だから」。

 同校創立50周年を記念する行事は今回のイベントを皮切りに、年間を通じてさまざまな形で行われる。来年には、福岡民族教育史も刊行する予定。(呉陽希記者)

[朝鮮新報 2006.4.28]