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西東京第2初中 初級部の取り組み 「みんなで楽しく英会話」

高学年は週1回、英語(45分間)授業も導入

 東京都町田市の西東京朝鮮第2初中級学校では、3年前から初級部の課外授業のひとつとして、毎週月曜日の放課後に外国人講師による英会話を行っている。

 李政愛校長の話によると、「本校では数年前から町田市にある桜美林学園との交流があった。外国語教育に熱心な桜美林の先生たちと教員同士の交流を重ねるうちに、朝鮮語と英語の教師を交換しようという案が持ち上がった。『交換教授』はボランティアで無料。昨年から桜美林では南朝鮮から講師を呼ぶことになったので本校の教師は出向いてないが、向こうからは引き続き講師を送ってくれている」。

 授業は低学年・高学年の2クラス別にそれぞれ30分ずつ行われる。講師は中国系オーストラリア人のジェフ・チャン先生(43)。

「見て」「聞いて」「話す」

フルーツバスケットは動物の名前で

 “Hello.”

 ジェフ先生が教室に入ると、低学年の児童(10人)たちの元気な声が教室中に響く。英会話の授業に机はない。児童たちは小さな椅子を横3列に並べて教室の前方に腰掛けている。

 ジェフ先生は、絵とアルファベットの大文字・小文字が書かれたカードを取り出し、紙芝居のように次々とカードをめくる。

 “Apple”“Bear”“Cow”“Dog”“Egg” “Fish”“Goat”…。

 アルファベット順にめくられるカードを元気に読み上げる児童たち。

英語の絵本に集中する低学年の児童たち

 発音の練習では、“S says sss.”“T says ttt.”と先生の後について児童が声を出すが、中にはどんどん先へ進みたがる児童も。

 次に取り出したのは動詞のカード。

 “Skate”“Dance”“Sewing”“Kiss”“Walk”“Stand”…と次々にカードがめくられる。

 先生が表情と身振りを交えながら、“I can swim. ”“I can’t swim.”と表現すると、児童らも“I can swim. ”“I can’t swim.”と続く。

 全員立ち上がり、 “walk”“run”“jump”“stop”“swim”“Eat an ice cream.”“Sing a song.”という先生の指示に従って体を動かすときには楽しそうな笑い声がもれる。

高学年では簡単な単語を使って会話もできるように

 音の出る絵本を見ながら歌をうたい、最後は授業の導入部分で使った単語カードを用いてフルーツバスケットをする。

 円座になった児童たちは、それぞれ“Dog”“Pig”“Cow”と命名され 、円の中心に立った「鬼」が読み上げた名前の者だけが席を立って自分以外の場所に行って座る。“Farm”の一声で全員移動。席につけない者が「鬼」になる。

 児童たちの元気のいい声が響く中、30分の授業はあっという間に終わってしまった。

 高学年(11人)の場合は低学年に比べてもう少しレベルアップした内容が行われるが、こちらも机はなく、「見て」「聞いて」「話す」をメインにした授業スタイルには変わりはない。

 6年生の辛龍成くんは、「体を使って表現するのがとっても楽しい。英語もたくさんわかるようになった」と話し、金梨瑚さんは、「ジェフ先生の授業は本当におもしろい。英語の会話もできるようになったし、聞けるようにもなった」とうれしそうに話した。

早い子どもの学習能力

 日本に来て8年になるというジェフ先生は、「朝鮮学校の生徒たちは本当に元気いっぱい。私の授業は、聞いて話す、見て話す、というものだけど、日本語の説明がなくても生徒たちはしっかりついてくる」という。

 中国人の両親をもつジェフ先生は、中国語と英語はできるが、日本語は現在勉強中とのこと。

 「ここの生徒は本当にすばらしい。朝鮮語、日本語、英語と3つの言葉を理解できる。私の授業は1週間に30分だけだが、生徒たちの習得能力には驚くばかりだ」

 同校では高学年に限り、今年から授業の一環として毎週水曜日に1時間(45分)英語の授業が取り入れられている。受け持つのは中級部の英語教師・宋明庸先生(27)。

 「中級部になって英語の授業をはじめるときに、どうしても外国語に対する抵抗感を強く感じる生徒がいる。初級部の頃からジェフ先生に英会話の指導を受け、英語に慣れ親しんでいるので、『英語』の授業では、アルファベットを『書く』こととともに、簡単な単語(250個)や基本文型のつづりを覚えることを中心に授業を進めている。始めてまだ2カ月なので成果のほどはわからないが、生徒たちは楽しみながら勉強しているようだ。学父母たちの評判も良い。これで中級部の英語の授業がスムーズに進められたら良いが…」と話した。

 初級部での英語の授業の導入は同校独自の取り組みである。記者の目に映った児童たちの姿に、英語に対する「拒絶感」は少しも感じられなかった。(金潤順記者)

[朝鮮新報 2006.6.24]