top_rogo.gif (16396 bytes)

金融制裁、朝鮮側一貫して主張 「6者」再開は米の行動いかん

 6者会談の1月中再開が不透明な状況にある。朝鮮が「偽ドル製造」に関わったなどとして米国が関連会社に対する金融制裁を発動したためだ。朝鮮側は同問題発生時から一貫して関与を否定。昨年11月9〜11日に開かれた第5回6者会談第1ラウンドでは、この問題と関連した団長同士の対話を米国側に求め、後に米国側も応じる構えを見せていた。だが、米国側が対話を拒否したことで問題が複雑化したうえに、バーシュボウ駐韓米大使が「犯罪政権」などと中傷したことから、朝鮮側は「わが国に対する米国の制裁は6者会談を壊す基本要因」(労働新聞3日付)と非難を強めている。

ガーランド起訴状も

 米財務省がマカオの銀行バンコ・デルタ・アジアを「資金洗浄の強い疑いがある」金融機関に指定したのは昨年9月15日。第4回6者会談第2ラウンドが再開されてから2日後のことだ。19日には同会談で共同声明が発表されたが、28日にはバンコ・デルタ・アジアがマカオ政府管理下に移行した。

 一方、米司法省は10月8日、「アイルランド労働者党」指導者のシーン・ガーランドを逮捕したと発表し、朝鮮と「偽札取引」があったと起訴状で断定した。同21日には米財務省が「大量破壊兵器拡散関与」を口実に朝鮮企業8社の資産を凍結した。

 これに対し、朝鮮中央通信は10月21日発の論評で「偽ドル製造」を否定。ガーランドの起訴状に対しても、「虚偽とねつ造、偽りの情報と謀略の元凶である米国が作り上げた創案品としてはあまりにも粗雑」と指摘していた。

 また、朝鮮側は第5回6者会談が日程に上っている時期に対朝鮮資産凍結措置を取ったことに、「『先核放棄』を無理強いするため」(労働新聞)と反発した。

 外務省スポークスマンは10月24日、これらは米国による圧力キャンペーンだとしたうえで、第5回6者会談で米国の責任を追及すると表明していた。

米資料綿密に検討

 この指摘どおり、同会談で朝鮮側は米国に金融制裁解除を強く求めたが、結論は出なかった。「制裁は共同声明の精神に違反するだけでなく、われわれが共同声明における公約を履行できなくしている」(6者会談朝鮮代表団団長の金桂官外務次官)というのが朝鮮側の主張であり、「各国はわれわれの主張が妥当であることを認め、交渉を通じてこの問題を解決しなければならないとの立場を示した」とされる。

 これはつまり金桂官外務次官と米代表のヒル国務次官補による朝米団長級会談開催を意味したが、米国側の拒否で流れた。

 一方、エレリ米国務省副報道官によると、ニューヨーク・チャンネルを通じて朝米が接触。朝鮮側はこの接触を通じて、「資金洗浄」問題をめぐる米国の説明を拒否する旨伝えたという(昨年12月7日)。接触は11月30日に行われた模様だ。

 確かに、朝鮮外務省スポークスマンは12月2日、「問題解決のための会談ではなく、財務省と秘密警察局の実務者を表面に立たせ、米国法に関する説明でもすると述べた」と、米国側の提案を拒否したことを示唆している。

 その後、朝鮮側はこの問題に対する立場を表明する中で、「米国側の突然の態度変化と信義にもとる処理によって、これまで6者が合意したすべてが水泡に帰す危険が醸し出されている」「6者会談の再開を騒ぐのではなく、会談を壊す基本要因である対朝鮮制裁をまず解除すべき」などと6者会談開催とからめた主張を行ってきた。

 ライス米国務長官は今月5日、「偽ドル」問題などを「違法行為」と批判し、厳しく対処する必要性を強調。金融制裁解除には応じられないとの意向だ。

 一方、朝鮮側は「6者会談再開の展望は、全面的に米国の行動いかんにかかっている」(労働新聞3日付論評)との立場だ。(文聖姫記者)

金融制裁関連、朝鮮の論調

 米国がありもしない「偽札の生産と取引」を再度持ち出したのは、朝鮮のイメージを傷つけ、朝鮮に対する国際的な「孤立と封鎖」を正当化しようとする稚拙で卑劣な政治的謀略劇以外の何ものでもない。

 社会主義制度の本質と人民的性格から、朝鮮では資本主義社会の病弊である「偽札」や「麻薬密売」のような「不法取引」は存在しない。(朝鮮中央通信2005年10月21日発論評)

 米国が対朝鮮資産凍結措置を取ったのは、当面して「先核放棄」をわが国に無理強いするためだ。米国が第5回6者会談前夜に制裁措置について騒ぐ根本目的はまさにここにある。言うなれば朝鮮に「見せしめ」を与え、次回6者会談で有利な地位を占めようということだ。対話と制裁は両立しない。(労働新聞05年11月2日付論評)

 われわれは9.19共同声明発表後、米国の強硬保守勢力が朝鮮を「不法国家」とののしるキャンペーンを段階的に拡大していることに注目せざるをえない。このキャンペーンは「不法国家」のレッテルを張ることで朝鮮の印象をおとしめさせ、なんとしてもわが制度を孤立圧殺しようとの心理謀略戦の一環だ。(朝鮮中央通信05年11月29日発論評)

 金融制裁解除は(9.19)共同声明履行のための雰囲気を整えるうえで根本問題であり、6者会談を進展させるための必須的要求だ。われわれは第5回6者会談で、米国がわれわれに加える金融制裁をまず撤回し会談の進展を妨げる障害をなくすよう強く求めた。朝米双方は6者会談団長級会談を開き、金融制裁問題を討議解決することで合意した。だが、米国側は会談自体を回避した。(朝鮮外務省スポークスマン言明、05年12月2日)

 われわれに対する米国の金融制裁発動は、朝鮮を経済的に封鎖して強盛大国建設を誹謗しようとするものであるばかりか、核問題でわれわれの「譲歩」を引き出そうとする不純な政治策略だ。

 朝鮮に対する米国の金融制裁は第4回6者会談共同声明の精神に反する行為だ。

 米国が金融制裁解除と関連した会談を回避している条件では、6者会談再開は絶対に不可能だ。米国の挑戦的な制裁下で6者会談は再開できないというのがわれわれの立場だ。(労働新聞05年12月6日付論評)

 われわれはいくらか前、いわゆる「不法活動」(偽ドル問題)と関連して米国側が作成したという「資料」を綿密に検討してみた。それによると、すべての「資料」が完全にねつ造された嘘であることが判明した。われわれは貨幣を偽造したこともないし、いかなる不法取引に関与したこともない。

 米国は6者会談共同声明の基本原則をひとつずつ覆している。とくに米国は朝米金融会談を破綻させたことで6者会談を無期限延長させた。(外務省スポークスマン言明、05年12月10日)

 6者会談が成功裏に行われ核問題が解決されるには、問題発生の根本要因である米国の対朝鮮敵視政策が転換され双方の間に相互信頼と対話の雰囲気が醸成されねばならない。

 したがって、われわれは6者会談の成果的進展のために、朝米が向き合い金融制裁問題を討議、解決することを米国に提案し、米国側も同意した。もし、第5回6者会談第1ラウンドで朝米が約束したとおり双方接触が実現し、問題が順調に解決したなら、それが6者会談全般によい影響を及ぼすであろうことは疑う余地もない。

 だが、米国側の突然の態度変化と信義にもとる処理によって、これまで6者が合意したすべてが水泡に帰す危険が醸し出されている。(民主朝鮮05年12月13日付論評)

 さる(12月)12日、米ロサンゼルス・タイムズ紙が「脱北者」証言の助けを借りて、朝鮮政府が「偽造貨幣」製作に介入していると報道した。これが過去米国が持ち出した「貨幣偽造」説の連続劇でありそのコピーであることから、反論する必要すら感じない。違う部分があるとすれば、ここに「信ぴょう性」を付与するために「脱北者の証言」をつけ加えたことだ。

 米国が朝鮮を誹謗中傷しようとして叶わず、正体不明の逃亡者の声まで持ち出していること自体、「貨幣偽造」説が完全にねつ造であることを証明している。

 ことに笑い種なのは、翌13日の南のKBS放送が、ロサンゼルス・タイムズの指名した「脱北者」を確認した結果、「北朝鮮にいる時、造幣関連機関に勤務したことがないことが判明した」と「政府」高位関係者の言葉を引用して報道したことだ。(朝鮮中央通信05年12月15日発論評)

 わが国に対する米国の制裁は明らかに6者会談を壊す基本要因だ。

 米国がわが国に対する制裁を解除しようとせず、圧力と威嚇の度数をより高めるかぎり、われわれの対応措置はさらに強まるであろうし、核問題解決の展望はより暗澹たるものになろう。米国は6者会談の再開を騒ぐのではなく、会談を壊す基本要因である朝鮮に対する制裁からまず解除せねばならない。(労働新聞3日付論評)

 米国側が金融制裁の動機になったとしてわれわれに渡した資料を検討してみたところ、われわれにはそのような事実が全くない。

 こうした事実にもかかわらず米国は事実無根の資料を流し、われわれと対座することをはばかりながら協議に必死に反対している。

 もし米国が科学的な事実資料に基づいてわれわれに金融制裁を加えたのであれば、われわれと対座して正々堂々と明らかにできない理由はないであろう。

 米国が真に朝鮮半島の非核化に関心があり、6者会談の進展を願うなら、それを阻む金融制裁を解除して6者会談に臨むべきだ。(外務省スポークスマン言明、9日)

[朝鮮新報 2006.1.20]