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そこが知りたいQ&A−朝・日会談が3年余ぶりに開かれたが

「強制連行等補償」は経済協力と別、朝鮮公民誘拐の日本人引き渡し求める

 4日から8日まで北京で朝・日政府間会談が開かれた。昨年12月の副局長接触での合意を受けて、過去の清算など3分科に分かれて行われた。今回の会談では何が話し合われたのか。Q&Aで見た。

 Q 朝・日政府間会談が3年3カ月ぶりに開かれたが。

 A 4日から8日までの5日間、北京で開かれた。昨年末の副局長級接触を通じて合意した@過去の清算A安全保障B拉致問題を含めた諸懸案−の3つの分科に分けて話し合う初の包括並行協議となった。

 Q 今回はあくまで3つのテーマを並行して話し合う包括協議だったということだね。

 A そうだ。これはもともと日本側が提案したものだ。3つのテーマを並行して協議しようという提案は、拉致問題を前提条件にしてきた従来の立場を修正せざるをえなかった日本の立場を反映している。にもかかわらず、日本側は「拉致」がメインテーマで、この問題で進展がなければ正常化交渉自体も進展しないとの主張を繰り返している。「拉致問題の解決なくして国交正常化はない」(6日の記者会見)の安倍官房長官の発言などと脈を一つにするものだ。しかし、これは3つのテーマをともに行うという副局長級接触の合意に反する。

 Q 会談ではどんな話し合いがなされたのか。

 A 前提となるのは平壌宣言を履行するための会談だということ。朝鮮側代表団長の宋日昊・外務省朝・日会談担当大使が初日の全体会合後に明らかにしたように、「平壌宣言を履行する姿勢で会談を推進」することで双方が合意していた。

 それに基づいて3つのテーマ別に話し合いがなされた。朝鮮側が核心問題と位置づける過去の清算と関連しては、日本側がまず「一括妥結経済協力方式」による清算を提案。朝鮮側はそれと同時に、強制連行、「従軍慰安婦」問題などについては別途計算すべきだとの立場を表明した。在日朝鮮人の法的地位改善、略奪文化財の現状どおりの返還なども求めた。

 Q 在日朝鮮人の地位問題について、朝鮮側はどう主張したのか。

 A 朝鮮中央通信が9日に伝えたところによると、朝鮮側は在日朝鮮人が日本に住むようになった経緯と現在の置かれている立場について想起させながら、総連弾圧、在日朝鮮人差別を行わず、民族教育を保障、奨励し社会経済的施策を実施し、経済活動を保護するよう求めた。

 Q 安全保障と拉致問題と関連しては?

 A 安全保障を単独テーマにした初の会談で、朝鮮側はミサイル実験が自主権に属するということ、地域の平和と安定に深刻な憂慮となる行動を行うべきではないことなどを指摘した。

 拉致問題と関連して、日本側は「拉致問題の解決は国交正常化にとって非常に重要」だと述べ、この問題が解決しないかぎり、国交正常化の実現はないとの姿勢を強調。「生存者の帰国」「真相究明」「拉致実行犯の引渡し」を求めた。

 朝鮮側は、拉致問題解決のために傾けてきた努力とこの問題に対する立場をあらためて強調したうえで、日本側の3つの要求の不当性について指摘した。

 横田めぐみさんの「遺骨問題」に関しては、遺骨の返還、鑑定人との面談などを重ねて求めた。

 さらに、「日本が近年朝鮮公民を誘拐、拉致した日本人犯罪者たちを引き渡すよう強く求めた」(9日発朝鮮中央通信)。日本のマスコミ報道によると、「北朝鮮難民救援基金」の加藤博事務局長ら7人の引渡しを求めた模様だ。

 Q 今後の見通しは。

 A 最終日の8日、全体会合で双方は政府間対話を推進していく意思と方式について確認し合った。宋日昊大使は会談終了後の記者会見で、「虚心坦懐で率直な意見交換の過程を通じて、双方の立場をより鮮明かつはっきりと知ることができたことを確認した」と語った。

 しかし、いまだ双方の立場には相当の隔たりがあるようだ。宋大使は意見交換の過程で、「双方の距離があまりにも遠い」ことを知ったとしながら、「日本側からは、総体的に見て楽観も失望もしていないとの指摘があった」と語った。

 とはいえ、「意見の相違を縮め朝・日関係を前進させるためには、今後もこの方式の交渉が必要だという点で見解の一致を見た」(宋大使)ことから、会談は今後も継続される。

 ただ、日程などはまだ決まっていない。今後、外交チャンネルを通じて協議することになる。(文聖姫記者)

[朝鮮新報 2006.2.10]