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朝鮮外務省代弁人 米、南当局の「戦略的柔軟性」合意、軍事的抑止力強化するしかない

 朝鮮外務省スポークスマンは21日、米国と南朝鮮当局が駐南朝鮮米軍の「戦略的柔軟性」と関連して合意したことを糾弾する談話を発表し、次のように指摘した。

 米国が、世界制覇戦略実現の一環として米日軍事同盟をいつにも増して強化する一方、アジア太平洋地域で軍事力増強に血道を上げているのは周知の事実である。

 ミサイル防衛(MD)システムの共同研究開発をはじめ、米日間には装備と作戦戦術の一体化過程が本格的に推進され、東北アジアの「有事」に対処して日本の水域に米軍のイージス艦と最新鋭原子力空母が展開されたり、その配備が確定された。在日米軍が近年、多くの国際紛争地域に投入されて侵略の使命を遂行している。

 問題は、米国がこれにとどまらず、南朝鮮当局に迫って駐南朝鮮米軍の「戦略的柔軟性」要求を貫徹させたことだ。

 「戦略的柔軟性」は、駐南朝鮮米軍が朝鮮半島を含む東北アジア地域全般の「平和保障と安定維持に責任」を負い、任意の場所で衝突や紛争が発生した場合、じん速に介入するというもので、日本と共に南朝鮮を軍事的橋頭堡(ほ)として東北アジア地域で諸国をけん制し、ひいては全アジアに対する軍事的支配野望を実現することを目的としている。

 6.15北南共同宣言の採択により、北南間に協力と和解の時代が開かれ、統一の熱気が急速に高まるにつれて、米軍の南朝鮮占領を正当化できるいかなる名分も立たなくなり、米国のアジア戦略は深刻な脅威に直面するようになった。

 こうしたことから、米国は南朝鮮との同盟は「この先、(朝鮮半島のみならず)地域防御の目的に転換されるべきだ」と主張して駐南朝鮮米軍の「アジア太平洋機動軍化」を法、制度的に合法化するため「未来同盟政策構想協議会」「定例安保協議会」などを次々と行って南朝鮮当局をせきたてたあげく、さる1月に米軍の「戦略的柔軟性」に対する合意を取りつけた。

 駐南朝鮮米軍の「戦略的柔軟性」で合意したことにより、南朝鮮は、米国のアジア戦略実現の前哨(しょう)基地、兵たん基地になおいっそう転落し、「朝鮮半島の専門的な防衛」をうんぬんしていた駐南朝鮮米軍に今や、「地域および世界が直面した挑戦に打ち勝つ」という侵略的性格が公然と付与され不法な南朝鮮、米国相互防衛条約を口実に南朝鮮を巣くつにしている米軍の実体がさらに赤裸々になった。

 今回の「戦略的柔軟性」の妥結により、米国はアジア最大の戦略拠点、米軍の最大駐屯地である日本と南朝鮮で米軍武力の相互歩調をより密接に合わせられるようになり、その武力を朝鮮半島だけでなく、アジア地域のどこにも任意の瞬間に、じん速に機動し投入できるようになった。

 「戦略的柔軟性」の合意は、国連のすべての加盟国が国際関係において他国の領域不可侵や政治的独立に反対して、または国連の目的と両立しないその他のいかなる方法によっても力で威嚇したり、または力を行使することを慎むべきであると規定している国連憲章に完全に反する不法行為である。

 米国と南朝鮮当局は、「戦略的柔軟性」の合意にはアジア太平洋問題、特に中国大陸と台湾間の紛争に介入する場合、米軍の出動は必ず南朝鮮の同意を得なければならないという条項があるだの、このような条項を考慮すれば米国と南朝鮮の「新しい合意が周辺諸国に不安を与えない」などと言っているが、これはき弁にすぎない。

 米国が南朝鮮当局に迫って「戦略的柔軟性」の合意を取り付けたことに関連してとりわけ看過できないのは、それがわれわれに対する先制攻撃をより円滑に行うところに目的を置いているという事実である。

 米国が「戦略的柔軟性」問題を持ち出した真意が駐南朝鮮米軍の「搬出」だけでなく、「搬入」を容易にしてわれわれに対する侵略戦争をより容易に実現するところにあるということについては米国の政界や軍部の高官自らが告白した。

 昨年5月、米国務省東アジア、太平洋問題担当次官補代理は、「戦略的柔軟性」は朝鮮半島に対する「安保上の挑戦」に対応するためのもので、「有事」の際、他の地域の米軍を朝鮮半島によりじん速に配置するためのものであると指摘し、米国家安全保障会議アジア担当局長も、「戦略的柔軟性」は朝鮮半島以外の地域で非常事態が発生する場合、「南朝鮮駐屯米軍をじん速に動員するためだけではなく、朝鮮半島有事の際、ほかの地域の米軍を南朝鮮に投入することも含んでいる」と明らかにした。

 米国と南朝鮮当局の「戦略的柔軟性」の合意により現在、朝鮮半島と周辺の情勢はいっそう緊張しており、もう一つの激しい軍拡競争を引き起こしている。

 朝鮮半島とその周辺に生じている緊迫した情勢に対処して、われわれには自らの軍事的抑止力を絶えず強化する以外にほかの選択はありえない。

 米国が南朝鮮から退かず、朝鮮に対する北侵戦争策動に執着するほど、われわれは先軍の旗じるしをいっそう高く掲げて自衛的抑止力をあらゆる面から強化していくであろう。

 米国は、朝鮮半島と東北アジア地域の軍事、政治情勢を激化させる行動を直ちに中止し、わが民族同士で和解と協力、統一を実現できるよう南朝鮮から米軍を速やかに撤退させるべきである。(朝鮮通信)

[朝鮮新報 2006.2.25]