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〈第18回北南閣僚級会談〉 北側団長 高い段階に関係発展させる措置

お互いの聖地、名所の自由訪問を

 第18回北南閣僚級会談が4月21〜24日、平壌で開かれた。北側から権浩雄内閣責任参事を団長とする代表団メンバーと随員、南側から李鍾奭統一部長官を首席代表とする代表団メンバーと随員が参加した。

 22日の会談では、北側団長と南側首席代表が基本発言を行った。

金策工業総合大学内の電子図書館を参観する北南代表(平壌支局)

 北側団長は基本発言でまず、済州道で行われた第17回会談で、6.15共同宣言履行によって新転機が開かれた1年を肯定的に総括し、北南関係をさらに高い段階に発展させることにしたと述べた。

 また、これまでの会談で多くの合意を遂げたものの、民族の統一のため、北南関係の発展のために根本的意義を持つ実践的措置が一つも講じられていないことについて詳しく言及した。

 そして、北南関係の改善において障害となっている根本的かつ原則的な問題を一日も早く解決することはこれ以上延ばすことのできない焦眉の課題であり、この解決なくして閣僚級会談も存在意義がなく、北南関係も断絶を免れないと強調した。

 団長は、南側が「わが民族同士」の理念を重んじて一日も早く対決時代の誤った慣行と習慣、制度的障壁を除去することによって北南関係で根本的転換を遂げなければならないと述べ、政治、軍事、経済関係で提起される原則的かつ根本的な問題を解決するためのいくつかの提案を示した。

 第1に、6.15共同宣言の基本精神にのっとって当局同士が相手側の思想と体制を認め、尊重する実践的措置を取ることについて提議した。

 団長は、双方当局が北南関係において根本的な転換をもたらすためには、6.15北南共同宣言発表6周年を機に、自分側の人員が相手側の聖地や名所、参観地を自由に訪問できるよう許可する措置を講じるべきであると述べた。

 また、この提案は旧時代の遺物を清算して民族の和解と協力をもたらし、北南関係を新たな高い段階に発展させる重要な措置になるであろうと強調した。

 第2に、朝鮮半島で軍事的緊張と戦争の危険を解消し平和を保障するため、2007年1月から外部勢力との合同軍事演習を完全に中止するよう提議した。

 団長は、南側が真に平和を望み、和解、協力を願うなら朝鮮半島の軍事的緊張を緩和して平和を保障するための実践的な措置を講じるうえでちゅうちょしてはならず、政策的な決断を下すべきであると述べた。

 第3に、双方当局が民族大団結の実現において責任ある役割を果たすよう提議した。

 団長は、双方当局は6.15共同宣言履行の直接的担当者として民族の前に責任を負わなければならないとし、北と南が6月15日を「わが民族同士の日」として盛大に記念することを伝統化し、6.15共同宣言発表6周年にあたり南側地域で開催される民族統一大祭典に双方の当局代表団が主役として参加することで、行事を意義あるものにすべきだと強調した。

 第4に、北と南が経済分野の民族共同の繁栄に実質的に寄与する協力を実現することについて提議した。

 団長は、北南経済協力事業は民族共同の繁栄と利益、民族経済の均衡的、統一的発展のための事業であるが、これまでこの事業で協力らしい協力、投資らしい投資は実現したことがないとして、外部勢力の干渉とけん制にとらわれることなく、地域と業種、規模において無制限の投資と協力を実現する実践的な措置を講じるよう主張した。

 第5に、民族の自主権と尊厳を踏みにじろうとする日本の策動に北と南が共同で強く対処することについて提議した。

 団長は、日本当局が独島周辺の水路を探査する名目で民族の神聖な領土である独島を強奪するための物理力まで行使しようとしていることに対処し、北と南は力を合わせて共同で粉砕するための断固たる措置を取ることにより、民族と歴史に担った責任をまっとうすべきであると主張した。

 つづいて、南側首席代表が発言。双方が互いの立場を十分に理解し、南北関係を進展させようということと、今後進むべき道が困難であるだけに、お互いが積極的に協力して和解と平和の良い雰囲気をもたらすことについて言及し、一連の提案をした。

 閣僚級会談は24日に終了した。会談で双方は、北南間の政治、軍事、経済関係において提起される根本的な問題を実現するための実践的措置をはじめ、さまざまな問題を協議し合意した。会談では共同報道文が発表された。(朝鮮通信)

1項目目実践してこそ前進

 【解説】第18回北南閣僚級会談共同報道文第1項目には、北と南が「相手側の思想と体制を認め尊重する実践的措置」を取るべきだと明記された。昨年12月の済州道第17回会談共同報道文の第1項目の表現と実質的に変わりはない。また、昨年9月に平壌で開かれた第16回会談でも、いっさいの体面主義をなくし民族の和解と団結を図るための措置を取ることを1項目目に明記した。

 最近の閣僚級会談でこのような条項が続けて含まれるのは、それが「6.15時代」を大勢とするためには避けられない課題であるからだ。北南当局はこれまで多くの点で合意したが、現実には相手の思想と体制を否定する対決をあおる行為は続いており、同族を敵と見なす「国家保安法」は依然存在したままだ。

 「第2の6.15時代」に入っても北南関係改善で障害となっている根本的で原則的な問題が解決されないことに、北の不満と焦燥感も極限に達している。

 北側団長の権浩雄・内閣責任参事は、表向き小さな変化はあったものの、本質的な変化は見られないとして、「閣僚級会談限界論」にまで踏み込む発言をした。

 もちろん肯定的な合意がないわけではない。

 たとえば、経済協力事業を「民族内部の協力事業」と規定し地域、業種、規模において実践的措置を講じるとしたのは前進だ。現在、開城工業地区をはじめとする経済協力事業は外国勢力の政治的干渉、各種規制によってブレーキがかかっている。

 いくら部分的な前進があっても、第1項目のような合意事項の実践が遅れるなら、良好に発展する北南関係が断絶しないとも限らない。

 北と南が対決時代の習慣から大胆に抜け出す措置を取ることで、北南関係を飛躍的に発展させることは、これ以上遅らせることのできない課題だ。(金志永記者=平壌)

[朝鮮新報 2006.4.28]