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反核平和原爆被害者協会 朝鮮の被爆者問題調査報告書(要旨)

 「反核平和のための朝鮮原子爆弾被害者協会」は4月30日、朝鮮の被爆者問題に関連する調査報告書を発表した。その要旨は次のとおり。

生存者証言

 現在、朝鮮に住んでいる被爆者は、日帝敗北後に故郷へ帰ってきたか、1959年末の在日朝鮮公民の帰国事業によって帰国した人々とその子孫である。

 被爆者のパク・ムンスクさん(43年9月2日生、平壌市楽浪区域)は、「45年8月9日、長崎に投下された爆心地から4キロメートル以内にある御船蔵で直接被害に遭った。原爆投下当時、家族と親せき合わせて8人が被爆したが、現在生き残っているのは私一人だけだ。当時、妊娠中の母は原爆の衝撃で流産し、破壊された病院で手術を受けた。母はその後3〜4年間で7回もの手術を受けたが、胃腸と消化器、関節系統の病気などの後遺症で苦痛にさいなまれ、99年1月に胃がんで亡くなった。兄も被爆の後遺症による胃かいようなどで苦しみ、食事もろくに取ることができず、99年5月に59歳で他界した。私は胃腸と消化器、関節系統の病気で苦痛を強いられ、心臓まで患い睡眠も十分に取ることができない」と証言した。

 被爆者のリョ・イルスクさん(33年5月19日生、平壌市西城区域)は、「45年8月6日、原爆の投下直後、弟をつれて広島安芸郡の自宅に帰った。その近くの川岸と小学校では山のように積み上げた死体を20余日間にわたって火葬したが、その時に放射線の被害を多く受けたようだ。73年3月に帰国したが、今も高血圧で苦しんでいる。日本で生んだ6人の子どものうち、長女は96年に貧血で倒れてから現在も寝たきりだ。次男は24歳の若さで死んだ。被爆から60年経ったが、今も後遺症による精神的、肉体的苦痛は計りしれない」と証言した。

 被爆者のピョン・クムヨン氏(33年10月25日生、平壌市船橋区域)は、「13歳の時、広島の尾長町で被爆した。45年8月6日の朝、ものすごく大きな爆音で気を失った。意識が戻ってからあたりを見ると、自宅は倒壊し市内は炎と煙に覆われていた。当時、父母と5人兄弟が被爆したが、私と妹を除き全員がんで死亡した。もちろん、生き残った私と妹も後遺症に苦しんでいる」と述べた。

緊急な課題

 朝鮮の被爆者が抱えている病気を分析してみると、循環器系統の疾病が一番多く脳神経、消化器、感覚器、末しょう神経、呼吸器、皮膚、泌尿、生殖器系統の疾病、がん、打撲および火傷後遺症、造血障害による疾病の順となっている。

 諸般の事実は、朝鮮の被爆者に対する治療支援がどれほど緊急な課題として提起されているかを示している。

 51年9月のサンフランシスコ講和条約で日本が連合国に対するすべての損害賠償請求権を放棄したのに基づき、日本政府は米国の原爆投下による被害に対しても加害者の代わりにその被害者に補償する国際的義務を負っている。

 このため、日本政府は、広島と長崎の被爆者に対する支援のため、57年に「原子爆弾被爆者に対する医療等に関する法律」(原爆医療法)を、68年に「原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律」(原爆特別措置法)をそれぞれ制定し、94年にはこれらを合わせて「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」(被爆者援護法)を採択し、被爆者援護に関する諸般の施策を実施してきた。

 「被爆者援護法」は、国籍にかかわらず日本に住んでいたり、日本に一時滞在する被害者なら誰でも医療支援を受けられるよう定めた法律で、日本の戦争犠牲者援護法のなかで唯一、日本人と外国人を平等に取り扱っていると言われているが、実際、この法律が適用される過程には数多くの差別措置が実施されている。

 日本は、サンフランシスコ講和条約によって被爆者に対する国家補償の責任を負い、日本憲法によってすべての国際法を尊重し、順守することになっている。

 それだけでなく、78年3月に下された被爆者に対する訴訟に関する最高裁判所の判決でも、日本政府が内外の被爆者に対する戦争の責任を負い、在外被爆者への補償を国家的道議と見なすことが強調された。

日本の義務

 朝鮮の被爆者問題は日帝の朝鮮占領と軍事的支配によって発生したもので、日本の過去の清算と密接に関連している。

 したがって日本政府は、朝鮮の被爆者問題を発生させた罪に対して当然の責任を認め、すべての被爆者に徹底的に謝罪し、補償すべきである。

 朝鮮の被爆者は日本政府の対朝鮮敵視政策と民族差別政策によって、「被爆者健康手帳」を受け取れなかったか、また、自らその手帳を受けることを拒絶した人々とその子女である。すでに多くの人が被爆の後遺症に苦しみながら死亡し、生存者も大部分が70〜80歳の高齢だ。2、3世も遺伝学的影響によって苦しみにさいなまれている。

 当協会は、日本政府が法律的、道徳的に朝鮮の被爆者に謝罪し、補償する義務があると認め、次のように強く求める。

 日本政府は朝鮮人被爆者に関するいっさいの資料を公開したうえで、朝鮮に住んでいる被爆者を援護するための「特別法」を制定すべきである。

 日本政府は60年以上、朝鮮在住の被爆者問題を放置してきた責任を含めて朝鮮の被爆者に徹底的に補償すべきであり、すでに死亡した被害者に関しては遺族に補償すべきである。

 日本政府は、人倫道徳的見地から生存者が必要な援護を受けられるよう、国家の補償とは別に一日も早く被爆者の治療に必要な医療設備と支援金を提供するなどの実践的措置を早急に講じるべきである。(朝鮮通信、中見出しは編集部)

[朝鮮新報 2006.5.12]