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宋日昊大使 日本記者との会見(要旨) 「日本は体系的に平壌宣言に違反」

朝・日国交正常化会談再開を楽観

 宋日昊・朝鮮外務省朝・日国交正常化会談担当大使は7日、訪朝した日本人記者らと平壌で会見した。宋大使は朝・日間の懸案である横田めぐみさんの遺骨問題、ミサイル問題、朝・日平壌宣言の履行問題に対する朝鮮側の立場を明らかにした。会見の要旨はつぎのとおり。

「対話局面」に至る

日本記者団の前で会見を行う宋日昊大使(7日、平壌)

 最近日本側から朝・日関係の現況に対して質問を受けるたびに、私は「最悪の状態」にあると述べてきた。

 しかし今日この時点において、朝・日関係は「最悪の状態」を超えて「対決の局面」に至ったと言える。朝米関係よりも悪化している。

 拉致問題解決のための朝鮮の誠意、努力が日を追うごとに客観的かつ明白になるにつれて、日本ではこれを否定する動きが表れた。このような動きに日本の言論も加勢している。

 朝・日関係の悪化に対し、日本の言論が責任を負うべき部分がある。国民に事実を正確に伝えることが言論の基本的な使命であろう。昨日(6日)、金英男氏が日本の記者と会見したと聞いている。夫人の痛ましい死亡の事実を記者の前で再び語らなければならなくなった経緯を、日本の国民は考えてほしい。

 金英男氏は金剛山で母、姉と再会した。唯一日本では、「政府の脚本に基づいたもの」という世論が生まれている。生きている人間が死んだと、政府が個人に強要できるのか。常識的には想像すらできない発言が日本では次々に飛び出している。

「偽遺骨説」への疑問

 金英男氏が日本側に渡した遺骨が「偽物」だというのならば、本人に返せばいいことだ。(04年11月、日本政府代表団の団長として訪朝した)薮中三十二・外務省局長は、金英男氏から遺骨を渡された時、それを日本にいる横田めぐみさんの両親に直接手渡し、その事実を公表しないことを約束した。薮中局長の約束違反は個人と個人の問題であり、金英男氏個人に対する名誉き損であるといえる。しかし当時細田官房長官が、遺骨が「偽物」であると発表したことは、国家間の問題であり朝鮮に対する名誉き損である。

 遺骨のDNA鑑定を担当したという帝京大学の吉井富夫講師が、日本政府の発表した鑑定結果を否定したことがある。その後、彼は突然警視庁の科学捜査研究所に移り、外部との接触が断たれた。現在は記者との接触もままならないという。

 日本に帰国した拉致被害者である蓮池薫氏もやはり、記者が自由に会うことができないという。特定の人物だけが彼と接触している。

 こう見ると、日本の主張する「拉致問題の解決」が何を狙っているのか、そしてその背後勢力が誰なのかについて考えざるをえない。

 薮中局長が遺骨を持って帰国したあと、遺骨は警察部門に渡り、鑑定が行われた。遺骨が自ら新潟県警察本部に場所を移すはずがない。

 誰が遺骨を押収しろと命じたのか。誰が鑑定を発議したのか。(日本側が発表した鑑定結果によるならば)なぜこの鑑定には第3者が立ち会わなかったのか。鑑定書に署名がないのはなぜなのか。このような疑問点は必ず解明されるべきだ。遺骨問題に関しては、これ以外にも数十項目の疑問点がある。

 われわれは吉井氏が日本国民の前で正直に話をするべきだと考えている。わが国にもDNA鑑定の専門家がいる。日本の専門家と協議を行うこともできる。鑑定の客観性を保証するために、第3者の立会いのもとに行えばいい。遺骨の鑑定結果が2国間の関係に及ぼす影響があまりにも大きいので、このような措置が必要だ。しかし日本は(われわれの)疑問に答えず、敵対感情を持続的に作り出し、朝・日関係を最悪の局面に追い込んだ。

ミサイル騒動主導

 昨日(6日)、ミサイルの発射に関連した朝鮮外務省スポークスマンの答弁が発表された。わが軍隊のミサイル発射に関し、現在米国とそれに追従する国々が「違反」「挑発」「制裁」「国連安全保障理事会への上程」を騒いでいる。しかし日本はその半歩先を行き、すでにわが国に対する制裁を発動した。

 とくに「万景峰92」号の入港禁止措置は、ミサイル問題と全く関係のない反人道的な措置だ。日本のこのような行動について、朝鮮人民の間では相当な対日警戒心が起こっている。

 われわれのミサイル発射に対して、日本のようにひどい反応を見せた国はない。完全にミサイル騒動を主導している。

 日本としては、このような制裁はやめたほうがいい。日本は過去に銃剣によって朝鮮を支配した国であり、その歴史の清算はいまだなっていない。日本はそれを極力回避しようとしている。したがって、むしろわれわれが制裁を科すことが正常なのだ。これに目をつぶって日本は制裁を叫ぶのか。言語道断だ。

 さる2月、北京で行われた朝・日国交正常化会談で日本側は、拉致問題で進展がなければ新たな人権法案を国会で通過させるとした。私はそのようにすべきではないと言った。もし、たび重なる警告にも関わらずわれわれに反対する法案を成立させるのならば、強硬な物理的措置が後に続くだろうと言った。日本側が、具体的にどのような措置をとるのかと聞いてきたが、私はその時になればわかるだろうと答えた。その措置とはミサイルなのかと再び聞いてきたが、私は良いように解釈してくれと言った。それが今回証明された。

 日本がわれわれに対する圧力騒動を続ける場合、破局的な結果がもたらされることもありうる。それについては日本が全面的に責任を負うべきだ。ミサイル発射と関連し発表された朝鮮外務省スポークスマンの答弁も、日本を十分に念頭に置いたものだ。スポークスマン答弁は、「もし仮に、誰かがこれについてあれこれと非難し圧力をかけようとするならば、われわれは違う形のより強硬な対応措置をとらざるをえなくなるだろう」としている。しかし日本は非難をすでに行動に移した。われわれとしてはより強硬な対応措置をとらざるをえない。われわれは空言を弄しない。

 もちろん日本にも朝・日関係の改善を望む人びとがいることを知っている。これからもわれわれは朝・日関係と関連した日本側の立場を綿密に注視し、必要な対応策を講じていくだろう。

会談には反対せず

 われわれは、日本との国交正常化会談それ自体に反対したことはない。日本の中にも会談をすべきだと主張する人と、会談をする必要がないと主張する人がいる。

 われわれは2月の会談において、過去清算の問題、すなわち経済協力問題、在日朝鮮人の地位問題、文化財返還問題などについて協議した。安全保障問題、拉致問題など、互いに関心のある懸案についても別途協議を行った。その過程で双方の立場に相当な隔たりのあることが表面化した。これについては互いに認めた。しかし日本側はこのような会談が有益だと言った。

 わが方はすでに一連の問題についての立場を明らかにしたので、日本側がこれについて検討し準備ができたならば、いつでも会談を再開する用意がある。会談再開と関連して、われわれはいかなる条件にも拘束されない。むしろ、日本が今回発表した制裁措置の中に「国家公務員の朝鮮訪問を禁止する」という項目があるが、これは朝・日政府間接触をするなというのに等しい。このような環境の中で会談再開の条件がどこにあって、会談をしようとするならばどうすればよいのか、それは日本自身が判断することだ。

 拉致問題と関連し、今も日本では再調査をうんぬんする世論がある。われわれの立場は、まず(めぐみさんの)遺骨が返還されなければならないということだ。こちら側で渡した死亡者の遺骨を「偽物」だというが、遺骨が返還されていないのに一体どのような再調査を行えるというのだ。

 日本が拉致問題について言うならば、まず遺骨問題から解決すべきだ。これはあらたまった要求ではない。昨年朝・日国交正常化会談を準備する実務接触を中国で行う過程で、双方の外交当局者の間で討議されたことがある。鑑定と関連し双方の専門家の間で協議を行う案が日本側から出され、わが方も反対しないという立場だった。しかし今年2月の国交正常化会談では、日本側はそのような要求を受け入れることができないと態度を変えた。

「平壌宣言」は有効

 私はミサイルの発射が平壌宣言に違反していないと確言できる。平壌宣言で「ミサイル発射保留」に関連した箇所は、「朝鮮民主主義人民共和国側はこの宣言の精神に従いミサイル発射の保留を2003年以降さらに延長する意向を表明した」という表現になっている。「この宣言の精神」はまさに平壌宣言の一番初めの部分で明らかにされている。「両首脳は朝・日間の不幸な過去を清算し懸案事項を解決し結実ある政治、経済、文化的関係を樹立することが双方の基本利益に符合し、地域の平和と安定に大きく寄与するという共通の認識を確認した」という部分だ。

 ひと言で言って、日本が過去を清算し国交正常化をするということだ。このような条件の下で保留措置が有効なのだ。

 しかし日本はなしくずし的に宣言に違反する行動をとってきた。02年9月に平壌宣言が発表されたが、その後日本は偵察衛星を発射した。偵察衛星発射の目的は、朝鮮に対する偵察であると公言した。これ以外にもわれわれを狙った「外為および外国貿易法」の改定、「特定船舶入港禁止法」の採択、最近では「北朝鮮人権法」なども作り出した。はたしてこれが平壌宣言を履行するものと言えるのか。

 「ミサイル発射保留」は平壌宣言を尊重し履行する過程に属する問題だ。しかし日本は平壌宣言について話はしても、その背後でやりたいことを全てやってきた。

 われわれは、平壌宣言が過去も現在も未来も2国間の関係改善においての重要な里程標になると考えている。したがってわれわれは、日本の中に反対の作用が存在しても、宣言の履行のために努力していくとの立場を堅持している。

次期総理は誰でも

 朝・日関係が複雑な状況にあることは事実だが、私は平壌宣言が今でも有効だと考えている。会談再開についても楽観している。もちろん現在の状況では、再開の時期を言うことはできない。会談再開の問題は全的に日本の立場と態度にかかっている。

 小泉総理の任期と結びつけてこの問題を論じる傾向が日本国内にあることは承知している。朝・日2国間の関係改善の里程標である平壌宣言に小泉総理が署名したことは当然評価されるべきだ。しかし宣言はある個人の独占物ではない。

 日本では次期総理の問題に関するさまざまな観測があるが、もちろん一般的には、新しい人物の登場に期待する向きがあろう。しかし朝・日関係に関しては、誰が総理になるかによってわれわれの期待や要求が変わることはない。朝・日関係に対するわれわれの立場は一貫している。日本がわが方との関係を改善しようとするならば、それに見合った行動をとればいい。(原文は朝鮮語、訳=平壌支局)

[朝鮮新報 2006.7.20]