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〈検証 ミサイル問題Q&AB〉 安保理「決議」への反応は?

強硬日本の背後に米 2国間問題を「国際化」

 Q 15日午後(日本時間16日未明)、国連安全保障理事会がミサイル問題に関する「決議」を採択したが、朝鮮側の反応は?

 A 同日、朴吉淵・朝鮮国連大使が演説し、「決議」は受け入れられないと述べた。16日には朝鮮外務省が声明を発表した。声明は「いかなる国際法にも抵触しないわれわれのミサイル発射を反則と規定し、国連に持ち込んだこと自体が完全に不当で強盗さながらの行為」だとして、安保理「決議」を全面排撃し、少しも拘束されないことを宣言した。さらには、「米国の極端な敵対行為によって最悪の情勢が到来している」として、「手段と方法の限りを尽くして自衛的戦争抑止力を各面から強化していく」と主張した。

 朝鮮側が反論することは当然予想されたことだが、問題はその迅速さ。朴大使が演説で「決議」拒否を表明したのは採択から45分後だし、外務省声明もいつにも増して早く出た。

 Q 声明の特徴をどう見ればいいのか。

 A 「決議」が米国の主導によって作られたと指摘している点だ。それによって、「朝鮮対米国間の問題を朝鮮対国連間の問題にすり替え、われわれに反対する国際的連合を形成しようとしている」と主張している。意外にも日本非難はほとんどない。

 Q でも当初、国連に「制裁決議案」を提示したのは日本ではなかった?

 A そうだ。日本は朝鮮がミサイル訓練を行った5日、「万景峰92」号の入港禁止をはじめとした独自の「制裁」措置を発表。「北朝鮮に対する国際包囲網を作る」ことをめざす日本は国連憲章第7章に基づく「制裁決議案」を提示した。7章は軍事行動につながる強制措置を定めたもの(別項参照)。これには中国が議長声明案で対抗。その後、中国はロシアとともに第7章の表現を含まない「決議案」を提示した。

 当初は第7章の明記に固執していた日本だったが、米国の「説得」で断念した経緯がある。「安保理決議と中朝交渉は、基本的にかかわりがない」(安倍官房長官の10日の記者会見)との立場だったのに、中朝交渉の行方を見守るよう米国が同調を求めたのにともない「採決延期」を決定した。

 「やはり、米国に『採決延期したい』と言われると仕方ないんだよね」(外務省幹部、朝日新聞12日付)という言葉に、結局米国の意向には逆らえない日本の立場が如実に現れている。

 Q 結果はどうなった?

 A 米日などは国連憲章第7章40条に限定した「修正案」を安保理に正式提出したが、英仏が第7章の表現を削除した案を提示し、それを中国が支持。米日がこれを受け入れる形での「決議」が採択された。

 この過程を見れば、結局は日本を背後で「操縦」していたのが米国であることは明らかだ。米国は日本の強硬論に「同調」しながらも、6者会談団長のヒル国務次官補を二度も中国に派遣するなど、中国の役割を重視していた。中東問題をにらみ、いたずらに中ロと軋轢が生じるのを避けたいとの思惑もあった。

 だから、朝鮮外務省の声明に日本批判がほとんど見られないのも当然だ。主導者が米国であることを、朝鮮側はよく知っている。それは、「米国がわれわれに対する軍事行動を合法化する国連憲章第7章を適用しようと最後まで試みた」「(米国は)われわれの自衛的権利行使を重大視する国連安保理『決議』を採択するようにした」との声明の文言にもよく表れている。

 Q 朝鮮側としては「決議」は当然受け入れられないということだが、その理由は?

 A ひと言で、何の国際法にも違反していないということだ。「米国と日本のミサイル発射は合法的で、朝鮮が自分を守るために行うミサイル発射訓練は不法であるというのは白昼強盗さながらの論理」というわけだ。

 実際、米国はミサイル訓練を常時行っているし、ロシアも最近、大陸間弾道ミサイル発射実験を行った。インドも失敗したが最近ミサイル実験を行ったし、南朝鮮も北がミサイル発射訓練を行った直後の9日に核弾頭を運搬できる中距離弾道ミサイル発射実験を行っている。

 朝鮮はミサイル発射直後、「通常の軍事訓練」であることを明言した。にもかかわらず、「決議」が採択されるなら、世界47カ国が弾道ミサイルを保有し年間100回以上の実験が行われているといわれる現状では、安保理「決議」だらけになりかねない。

 国連憲章第7章 平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為に関する行動

 第39条【安全保障理事会の一般的権能】 安全保障理事会は、平和に対する脅威、平和の破壊又は侵略行為の存在を決定し、並びに、国際の平和及び安全を維持し又は回復するために、勧告をし、又は第41条及び第42条に従っていかなる措置をとるかを決定する。

 第40条【暫定措置】 事態の悪化を防ぐため、第39条の規定により勧告をし、又は措置を決定する前に、安全保障理事会は、必要又は望ましいと認める暫定措置に従うように関係当事者に要請することができる。この暫定措置は、関係当事者の権利、請求権又は地位を害するものではない。安全保障理事会は、関係当事者がこの暫定措置に従わなかったときは、そのことに妥当な考慮を払わなければならない。

 第41条【非軍事的措置】 安全保障理事会は、その決定を実施するために、兵力の使用を伴わないいかなる措置を使用すべきかを決定することができ、且つ、この措置を適用するように国際連合加盟国に要請することができる。この措置は、経済関係及び鉄道、航海、航空、郵便、電信、無線通信その他の運輸通信の手段の全部又は一部の中断並びに外交関係の断絶を含むことができる。

 第42条【軍事的措置】 安全保障理事会は、第41条に定める措置では不十分であろうと認め、又は不十分なことが判明したと認めるときは、国際の平和及び安全の維持又は回復に必要な空軍、海軍又は陸軍の行動をとることができる。この行動は、国際連合加盟国の空軍、海軍又は陸軍による示威、封鎖その他の行動を含むことができる。

[朝鮮新報 2006.7.22]