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「万景峰92」号入港禁止 朝鮮国内で非難の声

「祖国往来は当然の権利」 −怒り、悲しみ、落胆− 

 【平壌発=李相英記者】朝鮮のミサイル発射への「制裁」の一環として、「万景峰92」号の入港を禁止した日本当局の措置に対する非難の声が、朝鮮国内の各界各層から上がっている。

人権にかかわる問題

日本当局は03年にも「不正送金船」等のレッテルを張って「万景峰92」号の入港を一時ストップした(写真は03年8月に同胞の歓迎を受け新潟港に入港する同船)

 「日本当局が人道的目的を帯びた『万景峰92』号の入港を禁止したことは、いかなる理由によっても正当化できない卑劣な行為だ」

 朝鮮赤十字会中央委員会のリ・ホリム副書記長はこう指摘しながら、「祖国と在日同胞を結ぶ『万景峰92』号の運航が政治の道具に利用されるのは、もってのほか」と語気を強めた。

 日本国内で在日同胞子女への暴行、脅迫事件が相次いで起こるなど、同胞に直接的な危害が及んでいることについても、「人道主義の活動に従事する者として怒りを禁じえない」と話した。

 リ副書記長は、「今回の一連の事態を在日同胞の人権にかかわる重大な問題」と見る。そして殺伐さを増す日本国内の民族排他的雰囲気に憂慮を示した。

 「在日同胞の祖国往来を保障することは、過去わが民族に対し罪を犯した日本にとって当然の道理であるはず。入港禁止措置を撤回し在日同胞の祖国訪問および親族面会の道を早急に開くべきだ」(リ副書記長)。

 船舶の運航を管轄する陸海運省でも、入港禁止措置への憤りを隠さない。

 陸海運省法規局のキム・リョンハク副局長は、これまでは日本もさすがに船舶運航に関する国際法規を要所で適用しつつ「合法」の枠内で朝鮮側船舶の入港を規制してきたが、今やその「合法性」までもが取り払われようとしていると指摘する。

 国際法的な観点からも妥当性のない今回の日本当局の措置は長く続かないと、キム副局長は強調する。「麻薬密輸」や「ミサイル部品運搬」といった口実も、他国の船舶関係者や法律家の目には説得力を欠くものとして映っているという。

 「われわれは運航再開のためのあらゆる対策を講じている。日本は近いうちに船の入港を認めざるをえなくなるだろう」とキム副局長は語った。

引き裂かれた出会い

 「万景峰92」号運航中止の知らせに最も心を痛めているのは、日本に住む親族との面会を心待ちにしていた人びとだ。

 平壌市万景台区域に住むパク・チョンレさん(38)は、弟のパク・ヨンハクさん(33、平川区域)とともに、伯母のキム・リョンスンさん(72)、キム・スジャさん(59)の訪問を待ち望んでいた。

 「残念な気持ちでいっぱい。準備した料理や贈り物もだめになってしまった」とチョンレさんは肩を落とした。1980年代半ばから毎年のように祖国を訪れてきた伯母たちと過ごす時間は特別なものだという。

 リョンスンさん、スジャさんは、63年に帰国し昨年亡くなったチョンレさんの母とは姉妹。7月6日に新潟を発つ便で平壌を訪れるはずだった。

 「新潟まで行ったのだが、乗船できないので引き返したそうだ。電話越しから伯母の落胆ぶりが伝わってきた」(チョンレさん)

 「私たちが何か悪いことをしたというのか。本当に悔しいし、腹立たしい」と、ヨンハクさんも声を震わせた。

 「また会うときまで体に気をつけて元気でいてくださいと、一言伝えたい」。ヨンハクさんは、日本に住む伯母を気遣った。

 祖国の学生と在日同胞学生との交流も相次いで中止に追い込まれた。

 東京朝鮮中高級学校との交流行事を計画していた平壌第1中学校の生徒は、東京朝高生が祖国を訪問できなくなったことにショックを受けている。

 同中学校は87年から東京朝高と姉妹校の関係を結び、祖国を訪れる生徒との交流活動を毎年行ってきた。7月13日の来校予定日に合わせ、行事の準備を進めていた矢先に運航中止の知らせを受けた。

 同校6年2組のリ・グァンスくんは、「日本が朝鮮に対する植民地支配をいまだ反省せずに、われわれに制裁を科そうとしているが、何の罪もない在日の先輩たちが被害に遭うのは許せない」と話した。1年の時から毎年交流行事に参加しており、今年ももちろん参加する予定だった。「互いの学校生活について話もして、一緒に楽しく過ごせたらどんなによかっただろう」。

 同校のハン・ソンヒ副校長は、「非常に残念」だとしながらも、現在の情勢について、「一時的な難局」にすぎず、「在日朝鮮学生の祖国訪問の道は必ず再開される」と力を込めて次のように語った。

 「厳しい状況が続くが、落胆せずに総連の活動にまい進してほしい」

[朝鮮新報 2006.8.1]