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核軍縮破壊の元凶、労働新聞 米の「2重基準」を非難

 10月25日付労働新聞は、世界最大の核兵器保有国としての核軍縮公約履行には目を背け、核拡散防止のみを問題視し朝鮮の核実験に対する制裁圧力を強めている米国を非難する、要旨次のような論評を掲載した。

 今世界では、米国の犯罪的な核政策によって核の脅威と核戦争の危険が増大し、世界平和と安全が破壊されている。このような状況で世界の平和と安全が保障されるには、何よりもまず、核軍縮が実現して世界から核兵器が完全に撤廃されなければならない。

 核軍縮と核拡散防止は不可分の関係にあるが、基本は核軍縮である。しかし米国は核軍縮に関しては口を閉ざしている。

 米国が騒ぐ大量破壊兵器拡散についていうならば、それは明らかに米国の核の脅威によって生まれたものである。

 世界に米国よりも危険な核狂信者はいない。米国は世界で最も大きな核兵器庫を持っている。世界的に中、長距離ミサイルなど各種の大量殺りく兵器の開発と生産を最も多く行っている国も米国である。米国は世界のいたるところに数多くの大量殺戮兵器を配備し、他国を威嚇している。冷戦が終結したこんにち、米国はむしろ軍備の拡張を推し進めている。米国の2006会計年度の軍事費は、前年度に比べ数百億ドルも多い5618億ドルに達するという。この莫大な資金がミサイル防衛システムの樹立と新型の核兵器をはじめとするハイテク兵器の開発や「反テロ戦争」の拡大に振り向けられていることはいうまでもない。

 米軍需産業の武器販売額は、2000年の1570億ドルから、04年には2680億ドルに増加した。米国は毎年莫大な量の各種武装装備を世界各地に売却し、武力紛争を助長、激化させる一方、同盟勢力の核武装化を庇護している。米国こそが第2の軍備競争と核対決、核戦争の危険をもたらし、世界の平和と安全を脅かし破壊している張本人である。

 米国は、核兵器の存在と拡散を異なる別個の問題に設定したうえで、拡散防止だけに固執している。これは事実上、核軍縮をしないということだ。

 核軍縮を抜きにして核拡散防止を論じるのは理に適わず、核拡散防止という屏風で自国の核軍縮公約履行をうやむやにしようとする小細工である。

 米国式論理は、大国だけが核兵器を保有して小国を自由に攻撃し脅かすことができるということだ。このような強盗さながらの思考と論理が黙認、許容されるなら、それは非核国家を核抑止力の保有へと駆り立てる結果しか生まないであろう。

 米国は核拡散防止についてけん伝しているが、実際に核拡散を助長しているのは彼ら自身である。

 核拡散防止条約には、核兵器保有国が核兵器で他国を脅かしたり核兵器を使用したりしてはならず、非核国家の根本利益を危うくする非常事態を招かず、核戦争を避けるために努力し、人々の安全を保障するための措置を講じることが明記されている。これは核兵器保有国に課せられた国際法的義務である。

 しかし米国は、国際法上の義務を無視して核恐喝政策を露骨に実施しながら、核問題において不当な「2重基準」を適用している。

 現在、核拡散防止条約(NPT)をはじめ軍縮協約は拘束力を喪失した有名無実な存在となり、世界は核軍拡競争のるつぼのなかに引き込まれている。

 自国が履行すべき核軍縮義務は棚に上げ、自国の気に障る国だとして偽りの情報資料までねつ造し、平和的な原子力活動すら問題視して圧力と制裁を加え、はては軍事的強権までふりかざす米国の強盗さながらの行為は、絶対に正当化されない。

 核エネルギーの平和的利用は、特定の国家にのみ与えられる特権ではない。それは全ての主権国家の合法的権利であり、誰もそれについて言いがかりをつけることはできない。

 朝鮮半島の核問題は、米国の反朝鮮核威嚇政策の所産である。米国の重大な核威嚇政策は、朝鮮を核抑止力保有へと後押しした根本要因である。朝鮮が米国の増加する核脅威と核先制攻撃企図に対する正当防衛措置としてやむをえず核抑止力を備えたのは、国家自主権守護の原則、戦争防止と平和保障の国際法上の要求に全面的に合致する。

 朝鮮の自衛権行使を問題視するのは、国際的正義と公正さを無視し踏みにじる行為である。

 米国がなすべき最優先課題は、核軍縮義務を誠実に履行することである。これを離れた核拡散防止は空理空論である。(朝鮮通信)

[朝鮮新報 2006.10.30]