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〈月間平壌レポート〉 変わりない生活の流れ

緊張感なくいつにもまして平穏

 【平壌発=李松鶴記者】核実験成功のニュースが伝えられた10月の平壌は、米国をはじめとする列強とのたたかいで、自衛力をさらに高めることができたという自負心に満ちあふれている。しかし、日本で伝えられるようなすぐにでも戦争が起きるような緊張感は全くなく、むしろいつにもまして平穏な毎日だ。

「強盗の侵入防ぐため」

慈江道長江郡の長江邑協同農場で三毛作として植えた秋野菜の手入れをする農場員(10月3日) [朝鮮中央通信=朝鮮通信]

 朝鮮外務省は3日に発表した声明を通じて、@安全性が保障された核実験を行う、A核兵器を決して先に使用せず、核による脅威と移転を許さない、B朝鮮半島の非核化と世界的な核軍縮と核兵器廃絶のために努力することを強調した。

 10日には朝鮮中央通信社の報道を通じて、地下核実験が9日、安全かつ成功裏に行われたことが明らかになった。

 その後、核実験成功を歓迎する軍民大会が20日、平壌で行われたのを皮切りに、各道でも続けて行われている。

 平壌市軍民大会で演説した朝鮮労働党の崔泰福書記は、朝鮮が核実験を行ったのは、米国による侵略の脅威に対抗して国家の最高利益と民族の安全を守り、朝鮮半島で新たな戦争を未然に防ぎ、平和と安全を守るための至極正当な決断だと強調。核実験が朝鮮半島はもちろん、北東アジア地域の平和と安定をもたらすことに寄与したのにもかかわらず、米国がこれを国際平和と安全に対する「脅威」として国連安保理で反朝鮮「決議」を採択したことを強く非難した。

 平壌市民たちの間では、「自分の家に強盗が入ってくることを知っていながら黙っている人はいないだろう。米国という強盗の侵入を防ぐために、私たちが核抑止力という自衛手段を持つのは当然」との意見が大勢を占めている。

 先軍政治に関する海外同胞討論会を取材するための中国・瀋陽に向かう列車で、同席した駐中朝鮮大使館のある参事は、「南のメディアが毎日のように大使館に電話をかけてくる。『今回の核実験をどう見るべきなのか』と。外務省声明で明らかにしている3点以外に話すべきことは何もない。『同族として核保有を喜ぶのならまだしも、何をそんなに慌てふためいているんだ』と言うと、何も答えられない」と笑っていた。

 一方、10月も中旬を過ぎてからは、平壌大劇場の前に「核保有国となった5千年民族史の歴史的事変を末永く輝かせよう!」というスローガンが掲げられている。

稲刈りも着々と進む

 9月末から始まった稲刈りは全国各地で着々と進んでいる。平壌市郊外はもちろん、周辺地域を見たかぎりでは稲の作況はよく、稲刈りをする人たちの表情もとても明るい。

 約1カ月前に会った農業省関係者の「一部の地域で水害があったものの、全国的には昨年比0.2〜0.3%減の収穫高だと見込んでいる」という言葉が思い起こされる。

 昨年同様、中央機関をはじめ、すべての機関が稲刈りを手伝っている。支局のある平壌ホテルからも、多くの従業員たちが稲刈りを手伝うために平壌郊外の農村へと向かった。コメはもちろんトウモロコシもよく実っていた分、自分たちの仕事が増えたと、手伝いから戻ってきた従業員らはうれしい悲鳴をあげていた。

 最近のテレビでは、稲刈りを基本的に終えた状況でムダなく脱穀する方法や、高性能の精米機を紹介している。

 9月は異常気象なのではないかと思うほど暑かった平壌も、10月に入ると朝夕はめっきり冷え込み、日中も上着なしでは寒いほどだ。

 家庭では、この時期からキムチを漬ける「キムジャン」の準備で忙しくなる。主婦たちはある時は夫まで「動員」して、白菜をはじめとする材料の確保に東奔西走する。

 このように、核実験成功のニュースが流れたあとも、平壌にはそれまでと変わりない生活が流れている。

[朝鮮新報 2006.11.4]