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記者交流から見えた北南関係

「心のベクトルは変わらない」

 言論人討論会(11月29日、金剛山)に続く登山と宴会では、北と南の参加者らが少しずつ打ち解けていく様子がうかがえた。宴会で乾杯の音頭をとった北の代表の「チューッ、ネプシダ(グイッと飲み干しましょう)」という掛け声のあとは、「金剛山も食後景」。互いに表情も緩み宴会は盛り上がりを見せた。いたるところで「祖国統一のために」の掛け声とともに乾杯して酒を飲み干す姿が見られた。

 これまで日本のメディアを通じて報道されてきた北南の合同行事では、北側の「硬い表情」と南側の「とまどい」が強調されることが少なからずあった。限られた一部の人たちだけが参加するものという印象を与えることもあった。だが、実際には偏見や誤解にもとづくものであることが多い。

 「分断後初の北南言論人による討論会」とはいうものの、今回の参加者の多くはさまざまな機会に北南を行き来した経験豊富な記者たちばかり。なかには今年だけで11回も北に入ったベテラン≠烽「た。

 そのベテラン≠ェ朝鮮半島を取り巻く情勢の変化について力説していた。とくに対立の続く朝米、朝・日関係とは異なり南北関係の進展は着実に進んでいると語る。「6.15以降、期待通りの進展はなかったと言われるが、南北の距離が縮まっていることは確か。ミサイルや核実験で南北間の対話が止まっても人々の心のベクトルは変わらない」と自信を示す。

 1972年の7.4北南共同声明、92年の北南基本合意書と非核化共同宣言、そして6.15共同宣言。時代の流れと歴史的事変は人々の心に着実に変化をもたらしてきた。

 参加者同士でこんな会話も飛び交う。「チャ・○○という南の俳優に似ている」−確かに6.15以前にはありえない発言だった。さらに驚かされたのは、これを聞いた北側の記者の中に、その俳優を知っている人がいたことだ。

 同じ肌の色で同じ言葉を発し、笑いのポイントや会話のネタも共有する。さらには情勢の見方も共通している。

 「北の核兵器は民族の平和と統一の担保」−こういった見方をする人が南で少数派ではなくなっているという。「まだ堂々と言える環境ではない」というが、朝鮮半島情勢が激変するなか、今回の討論会が行われたこと自体が、南北相互理解の深まりを物語っている。

[朝鮮新報 2006.12.6]