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そこが知りたいQ&A−偽ドル問題 NY朝米会合が開かれたが

双方の関心事、憂慮で十分な対話

 「偽ドル問題」を話し合う朝米会合が7日、ニューヨークの米国連代表部で開かれた。朝鮮側からは李根外務省米州局長らが参加した。会合では何が話し合われたのか。Q&Aで見た。

 Q 今回の会合には朝米双方から誰が参加したのか。

 A 朝鮮側からは李根局長と韓成烈国連代表部次席大使らが、米国側からはキャサリン・スティーブンス国務省次官補代理(東アジア、太平洋担当)、ダニエル・グレイザー財務省次官補代理(テロ資金支援、金融犯罪担当)、国家安全保障会議(NSC)関係者らが出席した。

 Q 何が話し合われたのか。

 A 会合後に発表された財務省報道文によると、米国側はマカオの銀行バンコ・デルタ・アジア(BDA)に対する「制裁」措置が「愛国法」に基づいたものであることを朝鮮側に伝え、米国の金融システム保護措置についても説明したという。BDAへの措置が朝鮮に対する制裁措置ではなく、6者会談とは無関係だということを伝えたと連合ニュースなどは報じた。

 Q 会合に対して双方はどう評価しているのか。

 A 7日午後に宿泊先のホテル前で記者団と会った李局長は、「今日、朝米双方は互いの関心事、憂慮について十分な対話を行った。互いの立場を知るようになり、今一度差異点を確認した」と述べた。米側が今回の会合を肯定的だと評価した点については、「互いの立場を知るようになり、今一度差異点を確認できたという意味で、会談はたいへん肯定的だった」と語ったが、これはある意味では逆説的≠ネ表現ともいえる。互いの意見の違いを確認し合ったことが有意義だったと述べているわけで、依然隔たりが多いことを示唆しているからだ。

 一方、スティーブンス米国務省次官補代理は、「一部懸案を明確にするうえで、双方にとって良い機会だった」としたうえで、BDA問題と関連して「肯定的な方向で進展があることを望む」と指摘した。

 Q 会合後、米国は朝鮮の6者会談復帰を希望すると述べたとされるが。

 A そうだ。だが、李局長は「それは自分たち(米側)の希望を表明したもの。われわれの立場は一貫している」として、「圧力のもとでは会談に参加できない」とあくまで金融制裁解除が会談復帰の条件である点を強調した。

 米側も6者会談再開を論議したわけではないとの立場だ。会談との関連性を薄めるため、会談には直接参加していないスティーブンス国務次官補代理(東アジア、太平洋局ナンバー2)らが出席したとも伝えられる。

 Q 朝鮮側は「偽ドル」問題と関連して非常設協議体を設置するよう提案したと報道されているが。

 A 李局長がハンギョレ新聞との単独会見で明らかにしたと同紙電子版が伝えた。「もう少し考えてみる」というのが米側の反応だったようだ。

 李局長の主な提案は、▼米国が関連情報を提供するなら(偽ドル)製造者を捕まえ、紙、インクなどを押収した後、米財務省に通報できる▼BDAに対する制裁を解いてこそ6者会談参加を論議できる。これは(会談復帰)の最低条件だ−というもの。ただし、朝鮮政府は偽造紙幣問題とは無関係だという点は強調した。

 関連情報を提供する問題に関しては、朝鮮外務省スポークスマンが2月9日、朝鮮中央通信社記者との質疑応答で次のように述べたことが参考になる。

 「わが国には紙幣偽造や資金洗浄のような不法行為を取り締まる法、制度的装置が整えられている。今後も国際的な反資金洗浄活動に積極的に合流していくであろう」

 米側から要請があれば、万が一国内で紙幣偽造が見つかった場合でも、その摘発に乗り出す用意があることを示唆したものだ。

 一方李局長は、米銀行に朝鮮の口座を設けることも提案した模様。米国が正常な金融取引を遮断しているため、仕方なく現金取引をせざるをえないというのがその理由だ。実際、外務省スポークスマンは2月28日、「われわれは国際金融システムに加入して正常な銀行取引をしようとしたが、米国の妨害で成就できなかった」「口座の出入金を(米国が)途中で差し押さえている」として、そのために現金取引をせざるを得ないと主張していた。

 現金取引を強要して資金の透明性を確保できなくしているのは米国で、口座による取引を認めてくれれば、この問題も自ずと解決される、というのが朝鮮側の主張だ。(文聖姫記者)

[朝鮮新報 2006.3.13]