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〈ニュースを見る眼〉 日本の高校教科書検定 侵略美化する「独島領有権」主張

 「青海(チョンヘ)から東南に向かって航路で200里(日本の20里)行ったところにある孤島、鳥たちの故郷であるこの島は、このチュンダリが守る」

 2004年11月から05年5月にかけてKBSで放映され、視聴率30%以上を記録したドラマ「海神」第35話にこんなセリフがある。

 前後のストーリーから見て、ここでいう「孤島」が独島を指しているのはまちがいない。新羅の海賊チュンダリが、青海(現在の全羅南道、莞島)近くの島に侵入した日本人の外敵(倭寇)に浴びせるセリフだからだ。しかも放送日は昨年3月30日。この半月前の16日、島根県議会は「竹島の日」条例を可決している。

 それから約1年が過ぎ、独島をめぐって、日本側は再び北南朝鮮を刺激する行為に出た。

 日本の文部科学省は3月29日、05年度の教科書検定の結果を発表した。主な対象は高校1年生が来年使用する教科書。このうち地理、歴史と公民の社会科に関して、独島と中国領土である釣魚島(尖閣諸島)の「日本固有の領土」明示を徹底したというのだ。

 朝日新聞3月30日付によると、両島に関して「韓国、中国などと『交渉中』」などと書いて認められていたのが、「わが国の領土だと理解しがたい」と修正を求められた出版社もあったようだ。南の政府が55冊の申請本を分析した結果、20冊が検定意見に沿って「日本固有の領土」と記述しているという。

 この発表に対し、北南朝鮮、中国は当然反発した。

 南政府は翌30日に発表した声明を通じて、「独島に関する記述わい曲は、日本政府が『靖国神社』参拝と共に歴史を隠ぺい、わい曲し美化しようとしていることを示している」と厳しく非難。「領土守護の次元で断固対応する」ことを明らかにした。中国外務省の邱国洪アジア局副局長も31日、堀之内秀久駐中国公使を呼び、「日本政府のやり方は中国の主権の侵害だ」と抗議し、撤回を求めた。

 朝鮮外務省スポークスマンは6日に談話を発表し、「歴史わい曲と最高当局者の『靖国神社』参拝に執着するのは、米国のそそのかしと庇護を受けていることと主に関係している」と、日本の右傾化の背景に米国がいる点を主に強調した。

 周辺国が領土問題に執着する日本に警戒心を示すのは、かつて日本が「大東亜共栄圏」を唱えて海外侵略の道に進んだ時代を彷彿とさせるからだ。

 「日帝が過去の侵略戦争時に強奪した独島の領有権を日本政府が主張するのは、侵略戦争を美化して青少年に教えようとしていると考えざるをえない」(南の政府声明)といった強い批判が出てくるのは当然だ。

 日本が本当に過去を反省しているのか、疑問視せざるをえない。

 それは小泉首相の「靖国神社参拝」に関する検定意見にも表れている。「小泉首相の『靖国神社』参拝に福岡地裁が違憲判断」と記述した教科書に、「(この記述だと)国が勝訴した判決だったことが理解できない」との理由で検定意見がついた(朝日新聞3月30日付)。

 朝鮮外務省の指摘のとおり、日本政府はまさに歴史わい曲と「靖国参拝」に執着しているように思える。

 一方で、来年から高校1年生が使う地理、歴史教科書にはヨン様≠アと南の俳優、「勇俊が登場する。「韓国の生活、文化と日本」と題して彼の写真が掲載される。とはいえ、本文中に関連内容があるわけではない。

 連合ニュースによると、同教科書の編集長は、「指導要領が改定され、外国を紹介する時には日本との関係でのみ掲載する」として、「「勇俊の写真は韓日の文化交流を象徴するもので、多くの候補写真の中から選択した」と説明した。

 もちろん、文化交流が進むのは決して悪いことではない。それがひいては政治的な関係改善につながっていくこともありえるからだ。だからこそ、「日本政府がはたして韓日の善隣友好関係を発展させ、東北アジアの平和共存と繁栄のための協力へと進む意志があるのか疑わざるをえない」(南の政府声明)と、周辺国に思わせるのはいかがなものか。

 今回の検定結果が、朝鮮半島の人々には「露骨な挑発」にしか見えないことを、日本の当局者は決して忘れてはならないだろう。(文聖姫記者)

[朝鮮新報 2006.4.13]