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西成の市民団体 西大阪初級に鉄棒贈呈 「1%の底力で朝鮮学校支えよう」

 「1%の底力で朝鮮学校の民族教育を支える会(1%の底力)」が西大阪朝鮮初級学校に鉄棒を贈り、その贈呈式が4月22日、西大阪初級の運動場で行われた。贈呈式には、「1%の底力」のメンバーと西大阪初級の教職員と生徒、学父母と同胞らが参加した。贈呈式では、「1%の底力」から贈られた鉄棒のテープカットに続き、障害物競走や大縄跳び、校歌の斉唱などが行われ、昼食には七輪を囲んで焼肉を食べながら、交流を深めた。

「心のこもった支援に感動」

贈呈された鉄棒の前で記念撮影

 贈呈式では、同校の金哲校長があいさつし、鉄棒の贈呈に謝意を表しながら、生徒たちも鉄棒で元気いっぱいに遊んで学べるだろうと述べた。また、学校を取り巻く情勢は依然厳しいものの、朝・日の各界層、各団体間交流を重ねて理解を深め、地域の朝・日交流発展のきっかけにしようと語った。

 式には、日本の各団体の代表らも駆けつけ、鉄棒の贈呈を祝うとともに、今後も朝鮮学校の民族教育を守るために力を合わせていこうと訴えた。

 この日、「1%の底力」の鉄棒の贈呈に応えようと、オモニ会は朝から学校に赴き、おにぎりやキムチなどを作って参加者らにふるまった。

贈られた鉄棒で楽しそうに遊ぶ生徒たち

 オモニ会の田和美会長(35)は、「『1%の底力』の人たちと知り合ったのは、オモニ会でベルマークを集めている時に、声をかけてもらったのがきっかけ。鉄棒が老朽化して撤去されたままだったので、今回の贈呈は本当にありがたい。今度は自分たちが学校のために何かしなくてはと、決意を新たにしている」と語った。

 贈呈式の最後にあいさつした総連西成支部の呉信浩委員長は、「子どもたちが鉄棒で楽しそうに遊んでいる姿を見てとてもうれしく思った。お金の多少ではなく、心のこもった支援をしようという気持ちが『1%の底力』という会の名前に込められている」と述べた。

 一方、贈呈式に先立ち04年に行われた宝塚市の市制50周年のイベント会場で、民族舞踊を披露した朝鮮高級学校の女生徒9人が、日本人女性から差別的な暴言を浴びせられたことをテーマにした「部落解放人権研究所反差別部会有志」による演劇「宝塚市制50周年差別事件」が上演された。

「真実の姿伝えたい」

 「1%の底力」は、朝鮮学校の民族教育を支える取り組みを進め、在日コリアンと日本市民との交流を通じて、在日コリアンと朝鮮学校に対する差別を撤廃し、友好と連帯の発展に力を尽くしていくことを目的に、昨年6月に結成された。会員らは、民族教育を支えるために収入の1%を拠出している。

焼肉を食べながら交流を深める参加者ら

 そして、結成から1年かけて地道に集めてきたお金を今回、鉄棒という形で西大阪初級に贈呈した。

 会員は西成地域の労働者をはじめ、公園のテントで生活をしながら「居住権を求める野宿者運動」をしている人など多岐にわたっており、アルミ缶を集めて得たわずかなお金の中から1%のお金を拠出している会員もいる。

 事務局を努める原民樹さん(20)は、「1%の底力」で活動することになったきっかけについて、「高校時代に一緒に遊んでいたのが在日コリアンで、外登の常時携帯や通名の使用など、見えないところで苦労していることを知った」ことがベースにあるという。

 その後、野宿者を支援する活動をしている時に、彼らと在日コリアンに対する差別の眼が一緒だということに気づき、活動に参加した。「この活動を通して、差別のない社会を作るきっかけになれば」と語った。

 大阪市内で教員をしている弓削紀子さん(31)も、「1%の底力」の中心メンバーの一人。「日本学校と同等もしくはそれ以上の教育をしている朝鮮学校に対して、行政からの補助金が少ないというのはおかしい。マスコミで朝鮮学校の真の姿が伝えられていない分、私たち日本人が真実を伝えていかなければ」と述べながら、今後も交流を深めていくことを基本に行政への働きかけも行っていきたいと抱負を語った。(李松鶴記者)

[朝鮮新報 2006.4.28]