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北南朝鮮から遺族20人招請 30カ所で集会、遺骨調査に弾みを

市民団体の呼びかけで今夏に

 日本政府が朝鮮半島出身者の遺骨実態調査に着手して1年以上が経つ。しかしこの間、日本各地では調査のずさんさが次々に明らかになり、市民団体や遺骨を預かる寺院からは非難の声が挙がっている。そんななか、日本の市民団体、宗教団体、民族団体が共同行動に乗り出した。今夏、北南朝鮮から強制連行犠牲者の遺族を招いて各地で集会を開き、遺骨返還を訴えていく。遺骨問題への関心を呼び起こし、返還に向けた取り組みに弾みをつけたいという。

各界各層が賛同

 今回の全国行動の名称は「韓国、朝鮮の遺族とともに−遺骨問題の解決へ2006夏−」。実行委員会は「遺骨にはそれにつながる家族がいる。本人が死に至った経緯、日本に残っている事情を遺族に説明する義務がある」とし、そのために遺族を招き「生の声」に耳を傾けたいと今回の企画主旨を説明する。

 今回の企画は強制動員真相究明ネットワークの提案に総聯、民団、朝鮮人強制連行真相調査団などが賛同し動き出した。強制連行や日朝問題に取り組むさまざまな市民団体に呼びかけ4月6日に全国実行委員会を結成。独自に遺骨問題に取り組んでいた曹洞宗も参画し、一気に幅も広がった。

 同実行委員会共同代表の清水澄子氏(フォーラム平和、人権、環境副代表)は、総聯と民団がともに参加しており、幅広い多くの市民団体が共同で企画した意義はとても大きいと強調した。

 同じく共同代表の上杉聰氏(アジア・太平洋地域の戦争犠牲者に思いを馳せ、心に刻む会呼びかけ人)は、日本政府が集めた遺骨の情報868体のうち65%が寺院からだとし、「宗教家が一緒にやってくれるのはとても心強い」と語る。

 「韓国、朝鮮の遺族とともに」は、北南朝鮮から約20人の遺族を招き、東京(7月29日)、名古屋(7月30日)、大阪(8月13日)などを中心に約30カ所で集会を開く。企画の最後には、8月に北海道・猿払村で強制連行犠牲者の遺骨発掘作業を行う市民団体、学生団体と合流する予定だ。

 朝鮮人強制連行真相調査団朝鮮人側中央本部の洪祥進事務局長は「日本の過去清算に関連した運動としては2002年の平壌宣言以降、最も幅広く大規模な企画。遺骨返還、日本の過去清算の動きに拍車がかかれば」と語る。

人道的対応を

 朝鮮在住の遺族からは、父親の遺骨が祐天寺(東京都目黒区)に安置されているとされていた(実際は偽物だった)金勇虎さんと金元鏡さん、婚約者が旧中島航空機工場(愛知県半田市)に連行され障害を負った(解放後に帰国し結婚)申金女さんらの招請が予定されている。

 2004年に東京朝鮮人強制連行真相調査団が主催した祐天寺での追悼会に、金勇虎さんと金元鏡さんを招待したが、日本政府の妨害にあって参加できなかった。「今回はそのようなことが起きないよう、人道的に対応してもらいたい」と関係者は述べている。(李泰鎬記者)

 ※全国実行委員会では集会への参加、企画の支援、カンパを呼びかけている。

 全国実行委員会事務局:松本治一郎記念会館2階(東京都港区六本木3−5−11)

 事務局担当:福田誠之郎

 TEL 03・5562・0152

 郵便振替:全特六本木ビル内郵便局

 口座名:「韓国・朝鮮の遺族とともに」

 口座番号:00180−2−742013

招請予定の遺族

[朝鮮新報 2006.6.10]