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そこが知りたいQ&A−「ウルチフォーカスレンズ」の目的は?

有事の際の協調シミュレーション 北への先制攻撃想定

 21日から来月1日まで「ウルチフォーカスレンズ」米韓合同軍事演習が行われる。朝鮮平和擁護全国民族委員会スポークスマンが談話を発表し、労働新聞、民主朝鮮などが連日論評で非難するなど、朝鮮側では同演習に対する警戒感が広がっている。今回の演習の問題点、朝鮮側の主張などをQ&Aでまとめた。

 Q 「ウルチフォーカスレンズ」合同軍事演習はどんな演習か。

 A 兵力や戦闘装備を実際に投入するのではなく、コンピュータによるシミュレーション方式で戦場状況を想定し実施する、韓米連合軍による指揮所(CPX)演習。1975年から始まり今年で32回を数える。今年の演習には駐韓米軍5000余人、海外駐屯米軍3000余人の計8000余人が動員される。市、郡、区以上の南朝鮮の全行政機関、軍団、合同司令部以上の部隊も参加する。

 Q 演習の目的は何か。

 A 韓米連合司令部は7月21日、演習実施を発表した際、「朝鮮半島偶発状況時の韓米連合軍の協調手続きなどを熟知するため」だと演習目的を明らかにした。「朝鮮半島偶発状況時」とは、言い換えれば朝鮮半島有事のこと。有事の際の協調関係をシミュレーションするということは、北侵を想定していることを公言しているようなものだ。朝鮮が同演習に反対している理由でもある。昨年も演習を理由に朝鮮半島非核化を話し合う6者会談を2週間延期させたことがある。

 Q 朝鮮の批判内容は。

 A 7月28日に朝鮮平和擁護全国民族委員会が発表した談話は、「先制攻撃と核戦争を想定したもの」と同演習を非難したうえで、「米国などの反朝鮮圧殺策動と戦争策動が頂点に達している時」だけに、「朝鮮に対する重大な軍事的挑発、事実上の宣戦布告」だと主張している。

 7月5日のミサイル発射訓練に対し国連安全保障理事会は全会一致で「非難決議」を採択した。しかも、さかのぼれば、朝鮮がかたくなにならざるをえない状況を作ったのも、せっかく共同声明まで誕生させたのに、昨年秋を最後に6者会談が中断したからだ。これも米国が朝鮮に金融制裁を科していることが原因。朝鮮の立場から見れば「圧殺行為」ともとれる事態が続いている。

 さらに朝鮮は、米国が大規模な軍事演習を続けて実施した直後に「ウルチフォーカスレンズ」合同軍事演習を行うことも問題視している。

 Q というと。

 A 最近、太平洋上で「リムパック−2006」、アラスカ、米本土などで最大規模の海、空軍連合訓練が行われた。その直後に行われるからだ。こういった演習と同時期に、原子力空母「エンタープライズ」がミサイル巡洋艦、イージス艦などを従えて釜山港に入港した。朝鮮にとっては、「北侵を想定した大規模の戦争演習が連日行われるなかで、南朝鮮とその周辺は、第2の朝鮮戦争挑発に向けた米国の核打撃手段と侵略兵力に包囲されている」(民主朝鮮1日付)ように見える。

 だからこそ、朝鮮では今回の演習を、南朝鮮や米国が言うような「通常」のものとは見ていない。「米国が第2の朝鮮戦争挑発を想定した兵力の戦闘指揮及び作戦計画を完備し、戦争目的を容易に達成しようとする」ためのものと判断している。

 Q ミサイル問題を皮切りに北南関係も悪化しているが、南についてはどう言っているのか。

 A 一言で「米国に追従する南朝鮮当局」という認識だ。南の行政機関、軍部隊などが演習に参加することは「米国の北侵への野望を後押しし、朝鮮半島情勢を戦争の一歩手前に追い込む反民族的行為」(労働新聞7月31日付)だと強く非難している。(文聖姫記者)

[朝鮮新報 2006.8.10]