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米議会「慰安婦」決議、国際連帯集会など 「日本は責任認め謝罪、補償を」

国際化する過去清算要求の動き

 日本の過去の反人道的犯罪を告発し、謝罪と補償を求める声が国際的に高まっている。米下院国際関係委員会は13日(現地時間)、第2次世界大戦当時の日本の「従軍慰安婦」動員に関連した決議案(下院決議案759)を満場一致で可決した。8月26日から28日までフィリピンのマニラでは、「日本の過去の清算を求める国際連帯協議会」第4回集会が開かれた。会期中には、フィリピン議会の議員と集会参加者が日本の過去清算問題を共同で討議する国際議員フォーラムも開催された。「靖国」や歴史認識の問題をはじめ日本社会の右傾化が加速する中、日本の過去清算を求める国際的なうねりは、日本政府に問題解決をより強く促すものとして注目されている。

問題解決促す圧力

米下院国際関係委員会の非難決議案が採択されたあと、笑顔を見せる元「慰安婦」のハルモニと支援団体メンバーら(14日、ソウル日本大使館前で) [写真=聯合ニュース]

 米下院国際関係委員会で採択された決議案は、今年4月に民主党のレイン・エバンス(イリノイ州)、共和党のクリストファー・スミス(ニュージャージー州)両議員が超党派で共同提出したもの。

 「従軍慰安婦」を「20世紀最大の人身売買の一つ」だと指摘、日本政府に対し▼「慰安婦」動員に関する歴史的責任を明白に認め受け入れる▼「慰安婦」問題について現在と未来の世代に教育する▼「慰安婦」の隷属化を否認するすべての主張を公的に、強く、繰り返し排撃する▼国連女性暴力根絶特別報告官やアムネスティなど非政府国際人権機構の勧告を真しに検討し、被害者に対し適切な補償措置をとること、などを求めている。

 決議に強制力はないが、日本の過去の犯罪を世界に知らせる意味で、今後の補償問題等において日本政府に対する圧力になると見られている。

 「慰安婦」関連の決議案が、下院主務常任委員会の案件として上程、採択されたのは今回が初めて。過去にも01年と05年に決議案が議会に提出されたことはあったが、日本側のロビー活動によって廃案となった。

 現地からの報道によると、エバンス議員は、「今回の決議案は、日本政府に過去の蛮行に対して謝罪するよう再度促したところにその意義がある」と話した。

 日本は「慰安婦」問題で、国連やILOなどの国際機関から繰り返し勧告、指摘を受けてきた。02年10月には台湾立法院、03年2月には韓国国会、04年1月にはフィリピン議会下院外交委員会が、戦時性的強制被害者問題解決の促進に関する法律の早期制定を求める決議を採択するなど、被害国内部の動きもあった。今回の決議案も、このような国際的な流れの中から生まれたといえる。

 決議案は29日、下院全体会議で採決にかけられる。

 専門家らは、「米下院全体で可決されれば画期的なことであり、日本政府に与える影響も絶大」(有光健、戦後補償ネットワーク世話人代表)と、採決に期待をよせている。

 また同委員会では14日、日本とアジア近隣諸国の関係に関する公聴会も開かれ、議会の有力議員らから靖国神社の問題についての厳しい批判が相次いで出された。

 同委員会のヘンリー・ハイド委員長(共和党)は、靖国神社に併設されている展示施設「遊就館」について、「ここで教えられている歴史は事実に基づいておらず、訂正されるべき」であり、「日本の植民地支配を受けた人びとは、誰も日本を解放者とは見なしていない」と述べ、不快感を表した。

 民主党のトム・ラントス議員も、「A級戦犯が合祀された靖国神社への参拝は、ナチス幹部の墓に花輪を手向けるのに等しい」「戦犯に敬意を払うのはモラルの崩壊であり、韓国や中国の怒りをあえて招くことをするかぎり、日本が国際社会で重要な役割を演じるのは難しい」などと発言、日本の次期首相に対して靖国神社への参拝中止を求めた。

国際世論化恐れる日本

 国境を越えた連帯活動も盛んになっている。

 8月末に開かれた「日本の過去の清算を求める国際連帯協議会」マニラ集会には、北南朝鮮、中国、米国、日本など9カ国および地域の被害者、支援者、弁護士、国会議員ら約100人が参加した。

 集会宣言は日本が自らの犯した戦争犯罪についての法的、道徳的責任を受け入れるべきだと強調、日本政府に対し▼犠牲者に対する謝罪と補償▼過去の戦争と侵略に関するすべての資料の即時公表▼日本の首相の靖国神社参拝中止▼歴史の歪曲と軍事化への策動をやめ、非軍事的な手段での世界の平和建設に参加することを求めた。

 8月28日の「日本の戦後処理問題と戦争被害者への支援に関する国際議員フォーラム」でも、フィリピン議会の議員らが、国際連帯協議会集会への参加者と日本の過去の戦争犯罪問題についての認識を完全に共有したと指摘、参加者の要求を支持すると表明した。

 フォーラムでは、日本政府に▼被害生存者に対する公式の謝罪と完全なる補償の実施▼戦争と過去の犯罪に対するすべての記録と資料の公開▼戦争に関する歴史的真実の解明などを要求する共同声明も発表された。

 宣言にはアルフレッド・リム上院議員(前最高裁判事)をはじめとして、フィリピン議会下院と上院の与野党議員6人も名を連ねた。

 一方、問題の国際的な広がりを食い止めようとする日本側の活動も激しさを増している。

 前述の「従軍慰安婦」決議案の米下院採択を前にして、日本は可決を阻止するための猛烈なロビー活動を行っていると伝えられている。

 今月18日からスイス・ジュネーブで開かれている国連人権理事会において、ドゥドゥ・ディエン特別報告者(現代的形態の人種主義、人種差別、外国人嫌悪および関連の不寛容)の報告書に関する審議が行われた。

 報告書は在日朝鮮人に対する人権問題とともに歴史問題にも言及しているが、日本側は、「強制労働」や「従軍慰安婦」などの記述が報告書本来の任務を越えていると発言、報告書の意義を矮小化する反論を行なった。

 日本の過去清算を求める国際的な動きについて、朝鮮人強制連行真相調査団の洪祥進事務局長は、「非常に歓迎すべきことであり、政府の対応を含めた日本国内の状況の深刻さが浮き彫りになった」と指摘、「世界の声の高まりに合わせ、国内の運動もいっそうの発展が求められている」と話した。(李相英記者)

[朝鮮新報 2006.9.27]