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統一国家、高麗の都・開城 南大門、成均館など11を対象に

北南が協力して世界遺産に

 朝鮮初の統一国家である高麗の古都・開城にある遺跡群をユネスコ世界文化遺産へ登録するための活動が活発に行われている。昨年12月13日から16日まで行われた第17回北南閣僚級会談では、開城地区にある歴史遺跡の世界遺産登録および保存管理事業に互いに協力することが決まった。

 また、これに先立ち11月18日から21日にかけて開城で行われた北南共同学術討論会と遺跡踏査では、開城地区の遺跡に関する研究成果が発表され、世界遺産登録の実現へ向けた活動の進ちょく状況が報告された。

 開城は多方面で活性化する北南経済協力の中心地として、高麗の姿を今に伝える歴史文化都市として注目を集めている。

登録へ明るい展望

善竹橋を参観する北と南の歴史学者ら

 04年7月、蘇州で開かれた世界遺産委員会において、高句麗壁画古墳群が朝鮮の文化遺産としては初めて世界遺産に登録された。そのほかにも文化遺産2件(開城、平壌歴史地区)と自然遺産4件(金剛山、妙香山、七宝山、龍門大窟)が世界遺産の暫定リストに登録され、正式登録への手続きが進められている。

 そのうち最も進んでいるのは、開城地区の世界文化遺産リストへの登録活動だ。

 開城市一帯に数多く存在する高麗時代の文化遺産のうち、朝鮮が登録を申請しているのは、満月台、開城城、南大門、高麗成均館、善竹橋、表忠碑、崇陽書院、大興山城、観音寺、王建王陵、恭愍王陵の計11の対象。

 現在、申請書類の作成作業が急ピッチで進められており、近いうちにユネスコに提出されるという。

 ユネスコに提出された文書は世界遺産事務局に渡り、ユネスコの諮問機関としての役割を担うNGOであるICOMOS(イコモス、国際記念物遺跡会議)に通達される。イコモスは現地調査および審査を通じて推薦物件の専門的評価を行い、その結果を世界遺産事務局に答申する。その後、世界遺産委員会ビューロー会議を経て世界遺産委員会に推薦された物件は、委員会で審議され登録の可否の最終決定が行なわれる。採択で可決されると、晴れて世界遺産に登録されるという手順だ。

 開城地区の遺跡が世界遺産として認定されるためには、ユネスコが制定した登録基準を満たさなければいけない。申請した対象が10項目にわたる評価基準のうち1つ以上を満たす場合、世界遺産委員会は当該遺産に「普遍的価値」があるものと認定する。

 朝鮮側は、開城地区の遺跡が登録基準の2、3、4項に適合するものと見ている。

 文化保存指導局の関係者らは、「基準を十分に満たしているので展望は明るい」と話し、登録実現へ自信をのぞかせた。

民族全体の喜び

表忠碑を見て回る参加者

 一方、南の歴史学者、研究者らも世界遺産登録推進活動への協力の意志を明らかにした。

 前述した討論会、遺跡調査参加者の中にはソウル大学の黄h源教授(イコモス韓国委員会副委員長)や東国大学の李恵恩教授(イコモス執行委員)などの専門家も含まれていた。日程の合間には、双方の関係者らが意欲的に意見交換を行うなど、北と南が力を合わせ世界遺産への登録を実現させようという意気込みがうかがえた。

 「その歴史的価値や他国の類似ケースを見ても、開城は世界遺産として登録されるだけの価値を持っている」と、ソウル大学の黄教授は話した。また、「現在北には世界遺産が1点だけなので、追加登録するのに相対的に有利な面もある」と指摘するなど、専門家としての豊富な経験を生かして、積極的な提言を行っていた。

 「統一国家・高麗の古都である開城が世界遺産に登録されれば、民族全体にとって喜ばしいこと」。昨年の世界遺産委員会に朝鮮代表として参加した文化保存社のリ・ギウン氏も、登録の意義を強調していた。

 文化保存指導局のリ・スンヒョク処長は、「これから遺跡の研究と保存管理をいっそう強化して、ぜひとも世界遺産への登録を実現させたい」と意欲をにじませ、「今回の共同行事を機に歴史文化分野での北南交流が活発になれば」と話した。(李相英記者)

[朝鮮新報 2006.1.11]