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〈本の紹介〉 朝鮮総連50年 記録 在日朝鮮人運動 1955.5−2005.5

 昨年の5月、在日本朝鮮人総連合会(総連)は結成50周年を迎えた。

 日本当局の反朝鮮、反総連策動と絶え間ない弾圧、迫害に毅然と立ち向かい、幾多の試練をのりこえて来た総連にとって、50年という時の流れは、けっして短いものではない。

 このたび、呉圭祥氏は本書の出版を通して、豊富な資料で総連の半世紀にわたる確かな歩みを記録した。 著者は、朝鮮民主主義人民共和国の教授、社会政治学博士であり、現在は在日朝鮮人歴史研究所の研究部長として活動している。本書は、「前章 総連の結成以前」(1905〜55年)、「第1章 朝鮮総連の草創期、高揚期」(55〜64)、「第2章 団結した力で乗り越える」(65〜74年)、「第3章 解放後30年、世代交代に対応」(75〜84)、「第4章 変化する状況に対応して」(85〜94年)、「第5章 厳しい試練の中で」(95〜2004年) との全6章と索引で構成されている。

 朝鮮総連は金日成主席の主体思想にもとづいて結成された。総連結成以前、在日朝鮮人は日本における「少数民族」であり、その運動は「日本の民主運動」の一環としてあやまって指導された時期があった。

 それゆえ、本書でも強調しているが独立国家の在外公民として祖国の統一、自らの民主的民族権利を守り、日本の内政に干渉しない総連の主体的な運動方針は、従来とは根本的に異なる路線転換を意味した。

 総連の結成は、各界各層の在日朝鮮人の広い支持をうけた。それは同胞たちの民族的、愛国的な要求を反映していたからである。

 在日朝鮮人運動を推進する重要な動因は民族性を守ることである。これをいわゆる「ナショナリズム」と混同すべきではない。日帝によって祖国を奪われ、解放後も民族分断の不幸と日本当局の迫害、差別政策に苦しんでいる在日朝鮮人が自らの尊厳を守り、祖国統一のため愛族、愛国を重視することと、他民族をべっ視し戦争と侵略をあおるために利用するそれとを同列に論ずることはできない。

 本書は私家本。在日3、4世や日本市民が在日朝鮮人運動を理解するよい手引きとなるだろう。(白宗元、歴史学博士)

[朝鮮新報 2006.1.15]