保健室から見える子どもたち〜支援の現場から〜、心の叫びに応える信頼関係を |
「養護教諭とは、学校におけるすべての教育活動を通じて、健康教育と健康管理によって、子どもの発育、発達の支援を行う特別な免許をもつ教育職員である」 広島朝鮮学校の保健室には毎日のように子どもたちが訪れてくる。ケガをした子はもちろんのこと、クラブ活動で痛めた体のメンテナンスや心のケアを求めに来たり、相談事を持ちかけて来たり。また、性に関する本やマンガを読みに来たり…身長を毎日計測に来ては友だちと比べたり、フラっと用がないけど立ち寄る子どもたち…ソファーに寝そべり束の間の休息をとったり…さまざま。 来室してくる児童、生徒それぞれに合った対応をとるように心がけている。 1、児童、生徒の様子を詳しく観察する。 ・ 「ひと休み」のこどもたち:安心して人の中にいれない。 2、児童、生徒への対応
1)エネルギー補給 →逃げ場にならないように 3、児童、生徒とのやりとりで大切なこと 1)ひと休みの必要な子はゆっくりと休ませる 4、保健室に子どもたちが求めているもの 保健室に来室した時はいつもの健康レベルではないから、養護教諭に判断を求めている。それが医療、早退、休養、相談であるのかを判断しなければならない。 そのほか承認、保障、愛情、ぬくもり、安心、甘え、依存など情緒的な安定、ビタミン愛を求めているのかもしれない。 5、児童、生徒−養護教諭−担任への橋渡し 問題を抱えた子どもたちは、保健室でいろいろなことを話してくれる。ささいな問題は、たいてい泣きながら話していくうちにストレス源は減っていく。 しかし、1人や養護教諭では解決が難しい問題は職員室では決して話し出すことができない状況が多い。それをしっかり汲み取り、本人の許可を得て担任をも巻き込みアクションを起こす。場合によっては保護者にも相談してみる。 保健室は密室だし誰もいないということで落ち着いて、ゆっくり話せる場所だと子どもたちは言う。 6、保健室の役割をこれからは担任が! ★中高生を中心にした今日の子どもたちの特徴★ 1、 ねばりがなく、もろくて、ひ弱 (稲村博、東京芸術大学教育学部助教授「不登校の研究」より) 子どもは自分の心の叫びを聞いてもらわなければ逃げてしまう。一度敬遠されたら、よっぽどのことがないかぎり子どもたちの心をつなぎとめるのは容易ではない。 このことをふまえ、これからは保健室的な役割をも担任が担う必要性がある。 児童、生徒と一日に1人でいいから面談をしてみよう。 話を聞いてもらうと、自分の気持ちを話しながら、それが確認できたとき、喜びの気持ちをもって必要な行動への自己決定ができるようになる。 ただしブロッキングはしてはならない。 (否定したり話の腰をおらないこと。思い込み、勝手な解釈、感情的にならない。相手の考えや感じ方の動きに焦点をあててフォローする) 7、上手なカウンセリング方法の基本 1)気をつけたいのは次の4つ。 @観察 心を観て、心を聴く この姿勢で話し合えば子どもたちは必ず心の扉を開いてくれる。そのどれが欠けても、カウンセリングを成功に導くことはできない。1人ひとりの児童、生徒を大事に思い理解することで信頼関係は生まれてくる。 2)開いた質問と閉じた質問
3)聞き手の姿勢 子どもが安心して話すためには、聞き手の姿勢が影響する。 さて、みなさんは普段子どもと、どんなふうに話しているの? 考えてみよう。 大切なのは「視線」「うなずき」「表情」「姿勢」。その一つひとつに、相手の心にどんな影響があるかを考えてみてください。(昨年11月の第28回医協学術報告会で発表された論文より) (広島朝鮮初中高級学校 保健室講師 徐千夏) [朝鮮新報 2006.1.27] |