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〈第28回在日朝鮮学生「コッソンイ」作文コンクールから〉 初級部3年生部門

 本社主催第28回在日朝鮮学生「コッソンイ」作文コンクール1等入選作品の日本語訳(本紙編集部訳出)を、2回にわたって4編紹介する。

ぼくはさびしくないよ

 誰かに「フィジョン(希正)、学校で一番楽しいときはいつ?」と聞かれたら、ぼくはすぐに「体育でも、昼休みでもないよ。ぼくが一番楽しい時間は、低学年『サッカークラブ』の時間だよ」と答えます。

 どうしてなのかというと、男子だけが集まる楽しいひとときだからです。

 ぼくの家は男ばかりの3兄弟。だけど、ぼくのクラスはそうではありません。

 ぼくの兄弟は、兄さんとぼく、弟の仲良し3兄弟です。でも、ぼくのクラスは、女子4人で、男子はぼく一人きりです。

 担任の先生も女だから、右を見ても、左を見ても、また前を見ても、女ばっかりです。
 女子の名前は名字がみんな「金」なのに、ぼくひとりが「崔」です。

 絵のじょうずな「金」さん、踊りがじょうずな「金」さん、運動が得意な「金」さん、勉強が得意な「金」さん。…「崔」さんは?

 こんなに優秀な女子の間に、男子であるぼくが一人でいるから大変な時が多い。

 ある先生なんかは、「フィジョンは男ひとりでさびしいね。女子とケンカして勝てるのかな?」と、笑いながらおっしゃいます。

 ぼくは心の中で、「先生までぼくをからかうのか!」と頭にきました。

 3年生になって、別の学校に転校していった二人の男子のことをいっぱい思い出しました。

 (また戻ってこないかな…)

 でも、ぼくはさびしくありません。

 ぼくには男子が多くなる楽しい時間があります。

 その時間が毎週火曜日にある、勉強より、昼休みより楽しい、「サッカークラブ」の時間です。

 毎週火曜日は、ぼくは朝から胸が高鳴ります。

 授業中にも、掃除の時間にも、(はやくサッカークラブの時間になれば良いのに…)と放課後を待ちわびています。

 クラブの時間には1、2、3年生の男子たちだけでボールをけります。

 もちろん3年生はぼく一人だから、ぼくが主将で最年長です。

 先生が「ならべ!」と号令をかけるとぼくが先頭に立ち、「シュート練習!」と言われれば、やっぱりぼくがいの一番でボールをけります。

 1年生たちは「お兄さんはボールを上手にけるから本当に格好いいね」と言い、2年生たちは「ぼくらも男子が2人だけだから、お兄さんとサッカーをする時が楽しいよ」と言います。

 そのたびにぼくは下級生たちに、「クラスでは男子が一人だけど、クラブの時間は多くの男子と過ごすことができるからうれしい」と言います。

 そして(ぼくが一番年上だからお手本にならなくちゃ)と思って、いっしょうけんめい走って、勢いよくボールをけります。

 ゴールに「ヘディングシュート」を格好よく決めれば、「ゴール、ゴール、ぼくらの兄さん1番!」と、下級生たちが駆けよってきてお互い強く抱き合います。

 家では2番目で、クラスでは男子一人だけど、「大きいお兄さん」になって男子ばかりでする低学年サッカークラブの時間は本当に楽しいです。(崔希正、川崎初級)

[朝鮮新報 2006.1.28]