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〈第28回在日朝鮮学生「コッソンイ」作文コンクールから〉 初級部4年生 散文部門

通学路

 「はやく起きなさーい!」

 お母さんのうるさい声。

 (あー、うるさい、うるさいったら! あと5分だけ寝かせて)

 私はこう考えてまた寝ることにしました。

 「お姉ちゃーん、起きてー!」

 妹が体の上に乗っかりながら言いました。

 やっと目が覚めて時計を見たら7時15分!

 急いで学校に行く準備をし、駅まで一目散に走りました。

 ギリギリで電車に間に合いました。

 ここからが私の通学路の始まりです。

 私は4年生になって、電車とバスに乗って学校に通うようになりました。

 ある日こんなことがありました。

 人がぎっしりつまった電車は降りるのがちょっと大変です。なぜなら私は背が小さいから。

 何とか降りてバスの停留所に向かいました。

 はやくひと休みしたい一心でバスに飛び乗り、席に座りました。

 「つぎはー 病院前ー 病院前ー!」

 (ここで誰か乗ってくるかな? 見てみよう)

 すると、髪の毛がツンツンのポングギが乗ってきました。

 (ポングクは「病院前」停留所で乗るのね。知らなかったわ)

 ポングクはそのまま座席に座りました。

 ポングクはおしゃべりで愉快な友だちだとばかり思っていたのに、バスの中では静かで礼儀正しく見えました。

 その数日前には「大師前」停留所で、上級生のお兄さん、お姉さんたちと一緒に話しながら来るミホを見ました。ミホはいつもは静かなのに、通学路ではお兄さん、お姉さんたちの話を聞きながら、大きな声でキャッキャと笑っていました。

 ミホが全然違う人のように感じられました。

 私もこれからミホと一緒に話をたくさんして、楽しく過ごしたいと思いました。

 またほかの日には、「梅島」駅でクァンリャンイに会いました。クァンリャンイは一人で電車に乗って席に座りました。

 次の駅で人がたくさん乗ってきました。その中に一人のおばあさんがいました。

 その時クァンリャンイは、ためらわずにおばあさんに席をゆずっていました。

 私はこんなクァンリャンイの姿を初めて見て、(クァンリャンイはこんなに心がきれいで良い子だったんだな)ということに気づきました。

 私もこれからおじいさん、おばあさんや、体の調子が悪い人がいれば、クァンリャンイのように席をゆずろうと思いました。

 このように私は、通学路で多くの友だちたちの新しい一面を発見するようになりました。

 はじめは一人で通学するのがさびしくて嫌でもあったけど、今は友だちと一緒に話しながら通うことができるし、また学校では見られない友だちの一面を見つけることができるから本当によかったと思います。とくに良いところを新たに見つけることができて本当にうれしいです。

 私はこれからも学校に休まず通い、友だちの長所をもっとたくさん探して見習い、礼儀道徳を身につけようと思います。(金有美、東京第4初中)

[朝鮮新報 2006.1.28]