top_rogo.gif (16396 bytes)

「海女のリャンさん」描いた短編民族舞踊劇「願い」 「在日の歴史、在日同胞が表現してこそ

幸せな島を突如襲った集団虐殺により、母子は引き裂かれてしまう

 1月28、29の両日、大阪府内3カ所で教室を開いている「舞、朝鮮舞踊研究所」設立10周年記念公演が大阪国際交流センターで行われた。

 舞台では、2004年に製作された記録映画「海女のリャンさん」(原村政樹監督)をもとに創作された、短編民族舞踊劇「願い」が上演された。

 貧しい中でも済州島で子どもたちとともに幸せに暮らしていた主人公・ポッシリは、突如、悪夢のように襲いかかってきたジェノサイド(集団虐殺)の恐怖の中、愛する子どもと引き裂かれる。それから、50年の月日が流れるが、ポッシリは南に置いてきた娘を思い、片時も仕事から手を離せない。物語のクライマックスは娘・スッチャが母親を訪ねて済州島から日本へやってくるシーン。50年ぶりの再会に母娘はしっかりと抱き合い涙を流す。

 同研究所の任秀香代表は、「在日の歴史を伝える作品を私たちの手によって表現したかった」と思いを語った。

 作品はまさに、在日1世の歴史を2、3世たちによって、後世に伝えようとの試みでもあった。出演者たちはたくさんの資料や映像を通して当時のことを学んだという。

 5日、大阪・生野西朝鮮会館で開かれた祝賀宴には、作品のモデルとなった梁義憲ハルモニも出席した。「こんなに小さな子どもたちが一生懸命演じている姿がとてもかわいくて、きれいな舞踊はまるで夢の世界にいるようだった」と公演の感想を話した。

 主人公役を演じた舞踊家の金利枝さん(38)は、「本番では梁義憲ハルモニはじめ1世同胞たちの前で舞台に立ち、涙が止まらなかった。私自身2人の娘がいるが、子どもと引き裂かれて暮らす痛みをどう表現するか。こんなに美しく踊って良いものかとの思いも胸をよぎった」と話した。そして、「91歳になられる梁義憲ハルモニはとても元気で飄々としている。想像を絶する苦難を乗り越えるにはひたすら働き、前を向いて生きるしかなかったのでは。そのたくましい生き方は私たちに力強い勇気を与えてくれる」と思いを語った。(潤)

[朝鮮新報 2006.2.11]