〈3月−保健だより−〉 「薬をよく知ろう」 |
世界中の医師が心得ている医学常識中の常識、風邪を治す治療方法はまったくありません。要するに風邪に効く薬はないということです。 「あれ? 私は飲んでよくなったわ」と思っている方! それは風邪症状が穏やかになってきた頃に服用して自然治癒したものかと思われます。 大衆薬は服用して完全に治癒するのではなく、症状を和らげるにすぎないのです。 1.薬は大事なもの。でも副作用があります。 ヨーロッパの医学者、パラデルスという人がこんな名言を残しています。 「薬は毒です。時には命を奪われることもあります」 いざというときにすぐに役立つ大衆薬を家庭に備えておくことは、とても大切なことです。しかし、時には思わぬ副作用や事故を起こすおそれがあります。
@アナフィラキシー・ショック=血圧低下、呼吸困難などのショック症状 Aスティーブンス症候群=発熱、発疹、粘膜のただれ、眼球の充血など。失明や致命的になることもある。 2.解熱剤がとても危険 日本では毎年、数十人から200人余りのインフルエンザ脳症患者が出ています。 なぜか。日本では、もともと子どもの解熱剤は、アスピリンがあまり使われず、メフェナム酸やジクロフェナクナトリウムの非ステロイド抗炎症剤が使われてきたからです。厚生省の研究班で、ジクロフェナクやメフェナム酸などを使うと、インフルエンザ脳症になって死ぬ危険が3〜14倍高まるとの結果が出ていまた。 子どもが高熱を出した場合でも、解熱剤の副作用を考えると40度少しまでは我慢しても大丈夫のようです。それまでなら、熱だけで脳にダメージがおきることはないそうです。 生姜湯などの温かい飲み物を飲み、水枕で頭を冷やすなどの方法が体に優しいと思います。熱で死ぬことはまずありませんが、解熱剤で死ぬことは、少なくありません。これは忘れないで。 3.対処法 発熱の原因となっている病気を診断し、それを治すことが必要です。発熱ばかりを気にしすぎるのではなく、鼻カゼ、喉カゼを見逃さない必要もあります。解熱剤を使うときは医師の診断を受けてからにしましょう。 4.薬局薬店で薬を買う場合、どんなことに注意したら良いのか? 大衆薬を買う際は、薬局薬店でよく相談して買うこが必要です。薬局薬店では診断はできませんが、症状を説明すればどのような薬がいいかアドバイスしてもらえます。テレビのCMでよく出てくるからとか、友人が飲んでよく効いたと言っているなどの情報で購入するのは良い買い方とは言えません。 単に胃の薬、風邪薬と言っても、症状に応じて適用される薬の成分は違いますし、同じ成分でも特徴もありますので、ぜひ相談のうえ購入してください。 購入する薬が決まったら、外箱の表示で有効期限や注意事項などを確認し、飲み方や食事などについての説明もしてもらってください。その際、医療機関で薬をもらって飲んでいる場合は、必ずそのことを告げてください。飲み併せのチェックをしてもらえます。 (広島朝鮮初中高級学校 保健室講師 徐千夏) [朝鮮新報 2006.3.10] |