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東海朝鮮歌舞団創団40周年記念公演 「限りない愛の中で」 現役団員と元団員 歌謡、舞踊、民謡メドレーなどで観客魅了

後援会が平壌から取り寄せたアコーディオンを手に「統一列車は走る」を軽快に演奏する団員たち

 「同胞、祖国、組織、親…すべての人々に愛され共に歩んできたのが歌舞団。そんな感謝の気持ちを舞台で表現したい」−3日、東海歌舞団創団40周年記念公演「限りない愛の中で」(主催=東海朝鮮歌舞団)が行われ、5人の団員らの熱い思いが詰まった舞台に同胞らは終始温かい拍手を送っていた。公演中、団員らの胸には「同胞との一体感」という共通した思いがあった。公演後の会場は「みんなで東海歌舞団を支えていこう」との声が聞こえてきそうな、そんな余韻が残っていた。

 創団記念公演が行われたのは25周年以来、15年ぶりのこと。同歌舞団の責任者を務める李美順さん(27、舞踊手)は、「同胞らに支えられてきた感謝の気持ちを目いっぱい表現したかった」と語る。

十数年ぶりに舞台に立った元団員らも、現役時代と変わらぬ歌声を披露した

 そんな思いの詰まった歌謡、舞踊、アコーディオン演奏、民謡メドレー…多彩な演目で会場を盛り上げた現役団員たちの力いっぱいの舞台に観客たちの拍手は止むことがなかった。一方で会場をわかせたのが元団員らの出演だ。草創期から活動した団員、元団長、昨年まで在籍したメンバーらが出演し舞台を盛り上げた。年齢を重ねても衰えることを知らない元団員たちの歌声や朝鮮舞踊に、客席のあちこちから「いいぞ!」との声援が飛んでいた。

 元団員で30年ぶりに舞台に立ったという金玉順さん(56)は、「舞台に上がると懐かしい日々を思い出し熱い思いがこみ上げてきた。若い団員たちにはこれからもがんばって活動をしてほしい」とエールを送った。また、友人の紹介で公演を観覧したという水野素江さん(25)は、「日本でたくましく生きる在日朝鮮人に脈々と受け継がれる文化、民族の心を肌で感じ、感動した」と目を輝かせた。

「担う役割大きい」

 東海朝鮮歌舞団は1965年、前身である「愛知文宣隊」として活動を始めた。2年後の67年には「愛知文宣団」、全国各地12カ所に地方歌舞団が組織された70年代に愛知朝鮮歌舞団となった。東海地方を網羅する公演活動を基盤にした74年に東海朝鮮歌舞団と名を改めた。

 舞台で力強い歌声を披露した元団員の全相烈さん(60、栃木県商工会副会長兼中部地域商工会会長)。草創期から8年間在籍した当時をこう振り返る。「当時は何もなくすべて手作りの公演だった。分会、支部などで公演に明け暮れた日々が懐かしい。つねに同胞たちの輪の中で民族の歌を響かせていた」。

 軽快なアコーディオン独奏で観客らを魅了した元団長の李文良さん(55、文芸同東海支部委員長)は、「歌舞団が各地方にでき、さまざまな場所で活動した。年間100〜150回の公演があった。世代交代が進み民族の情緒が薄れていくなか、歌舞団が担う役割は大きい。同胞たちのニーズに沿った歌舞団であり続けてほしい」と願う。

同胞あっての歌舞団

公演後、笑顔で拍手を送る観客たち

 現役の団員たちが記念公演の練習を始めたのは昨年の3月。公演練習だけではなく、地元愛知や岐阜、三重、静岡などの東海地方での大小の公演スケジュールをこなしながら本公演の練習に打ち込んだ。20代の団員らが大きな舞台を自分たちでやり遂げるのは初めての経験。苦労や心配がつねに絶えなかった。

 「本当に観客が来てくれるのか心配で…。でもたくさんの人たちが観に来てくれて感無量だった。同胞たちがいて歌舞団があるのだと心の底から実感した」と唯一の男性団員、林高明さん(22、歌手)がさわやかな笑顔で答えてくれた。

 入団1年目の宋亜弓さん(19、舞踊手)も公演後、興奮冷めやらぬ口調で、「ついていくのがやっとの1年だったけど、今日の感激をいつまでも胸に刻んでこれからも同胞たちに『ウリ』の歌、踊りを届けたい」とほほ笑む。

 朝大音楽科卒業後、入団した劉智香さんと鄭晃代さん(共に23、歌手)は、「想像以上に同胞たちの声援があって胸がいっぱい。今後も東海歌舞団が同胞たちの一番近くの存在であり続けたい」と口をそろえた。

後援会の支え

 団員たちは財政確保のため同胞宅へのあいさつ、チラシやパンフレットの製作、宣伝などにも携わった。「練習よりもしんどかった」とは林さんの言葉だ。

 そんな苦労を縁の下で支えてきたのが2年前に結成された「東海朝鮮歌舞団後援会」だ。団員たちはみな「後援会への感謝」を口にする。会員数は約20人で歌舞団活動を支える柱となっている。

 後援会活動に力を入れる鄭日煥さん(55、愛知県商工会副会長)は、「40年もの間、歌舞団が存在し続けられたことが本当にすばらしい。創団当時から守ってきた先輩たちには本当に頭が下がる。民族教育を受けて育った若い団員らの力は無限の可能性を秘めている。これからも時代にマッチした、人の心に響く公演をしてほしい」と語った。

 公演後の食事会で後援会員らにあいさつに回る李美順さん。公演を迎えるまで気苦労も多かったが、「同胞と同じ目線でこれほど一体感を感じたことがなかった。これからも同胞たちに愛される歌舞団であり続けるよう、みんなでがんばっていきたい」とその表情は達成感に満ちあふれていた。(金明c記者)

[朝鮮新報 2006.3.11]