大阪 城北地域在日朝鮮人文化公演「ナヌン チョソンサラミダ!」 |
朝高生、日校生が共に準備、これからの「土台」完成 朝青大阪河北旭都支部学生会は昨年4月、3つの年間計画を立てた。@城北地域学生会の活性化と後輩熱誠者育成A朝高生とのフレンドシップ強化B地域同胞らへの学生会活動アピール。そしてC朝高生と共に「ウリハッキョを守ること」。掲げたスローガンは「ナヌン チョソンサラミダ(私は朝鮮人だ)!」。 サマースクール、訪問活動、行事の企画、ウリマル教室など年間活動の集大成として12日、朝高生と共に城北地域在日朝鮮人文化公演「나는 조선사람이다(ナヌン チョソンサラミダ)!〜トンム達よ胸を張って生きよう!!〜」(主催=在日本朝鮮青年同盟大阪府城東支部、河北旭都支部)を城北朝鮮初級学校で催した。地域の朝高生と日校生が共に実行委員会に入り、準備、出演する文化公演は地域では初の試み。彼らが「これからこの学校と地域を自分たちの力で守っていく」一里塚となった。 「葛藤知った」
城北朝鮮初級学校支援を兼ねたチャリティー公演ではサムルノリ、舞踊、演劇など(朝高生12人、日校生12人が出演)が行われ、会場を訪れた地域同胞ら250人が見入った。中でも演劇「君が君であるために」は、本名を隠し日本の高校に通う生徒の葛藤を描いた。「チョソンサラムがチョソンサラムであるために、私が私であるために」(劇中セリフより)生きていくさまざまな心の変化に観客は涙した。 城北地域在住の朝高生も今回共に練習で汗を流し、当日を迎えた。その過程でいろいろなものを感じ、いろいろなものが生まれたという。 大阪朝高を今月卒業し、4月から朝大に進学する朴誠衍さん(18)は、12年間民族教育を受け、同胞の中で育ってきた。「それが当たり前だった。しかし、学生会と交流する過程で、彼らがさまざまな葛藤の中で生きているということを目の当たりにした。さまざまな背景を持つ高校生が今日のように同じチョソンサラムとして舞台に上がったことの意義は計りしれない」。 公演を観た同胞らは、「私もずっと日本の学校に通った。今日出演していた日校生の気持ちが痛いほどわかる。本当に良かった」(黄順子さん、70)、「感動した。自分も学生会出身。時代が変わっても演劇で取り上げる本質は今も昔も同じ。人数集め、可能性の見極めが難しいと思うが、がんばってほしい。出演者の5年後が楽しみ」(金永一さん、35)、「さまざまな取り組みの集大成。同じ高校生同士が理解することへの第1歩となっている。このようなすばらしい公演を行ったことに意義を感じる」(劉由子さん、22)と感慨深げだった。 「距離の近さ感じた」 城北初級学校は、「一口1000円」運動など地域同胞らの熱意により守られている。今年の新入生は卒業生数を上回った。この日の収益金は同校に寄付される。そして朝高生、日校生が垣根なく地域のウリハッキョを共に守っていく「土台」が完成した。
公演後、出演者たちは「朝青の先輩らはじめいろいろな人のおかげで公演が成功した」「朝高生として知るべきことを確認した」「花のつぼみがきれいな花を咲かせた。そして僕らがハナ(ひとつ)になった」「地元の仲間、つながりは財産」と感想を述べあっていた。 朝高生と日校生の朝青活動での土台作りにおいて、「今年度が勝負だった」と話す朝青河北旭都支部の成耆晃副委員長。「力のある朝高生、学生会メンバーが後輩らにしっかりと『バトン』を渡した。まだまだこれから。共にがんばりたい」。成副委員長は、文化公演によって、同地域の朝高生、日校生の後代が育ち、朝青支部活性化への望みが見えてきていると話す。それにより朝青活動の土台が完成し、規模が広くなるのだと。 河北旭都学生会の呉美耶会長(18)は、公演最後の卒業生決意の朗読でこれまでの活動を回想し、涙が止まらなかった。4月からは朝大に通う。「朝高生との距離が近くなった。公演の題名どおりこれからも朝鮮人として堂々と生き、朝青活動をがんばりたい」と決意を披瀝した。 接骨院を開業したいとの夢をふくらませる、同地域学生会の李一正さん(18)は、2年間の学生会活動を感慨深げに振り返る。「学生会は自分にとってなによりも大事な財産。人生のターニングポイントだった。お世話になった朝青の先輩たちのように、学生会の後輩らの世話をしたい。将来は同胞に根付いた医者になりたい」と目を輝かせる。 李さんの親せきでもある公演実行委員会の李誠漢委員長(大阪朝高教員、支部非専従副委員長、29)は、「この地域は広くなかなか朝青員が集まれなかった。朝高、学生会の今年の卒業生らはこれから地域の中心になっていく。なんとしても今回土台を固めておく必要があった」と意義を話していた。(李東浩記者) [朝鮮新報 2006.3.14] |