くらしの周辺−二つの感動 |
ついこの前まで2005年の流行語大賞が何かと騒いでいたかと思えば、2006年もすでに3カ月が過ぎようとしている。 ふり返ると、われわれを取り巻く日々のニュースや報道は、信じられないような出来事が相次ぎ、先行きに対して不安さえ感じることも少なくない今日この頃である。 そんな中ではあるが、なんといっても筆者の心を熱くしたのは、トリノ冬季五輪での北南同時入場行進と、洪昌守選手のタイトル防衛戦である。残念ながら、トリノの開会式はテレビの前で力つき眠ってしまい、歴史的な瞬間をライブで体感することを逃してしまったが、洪昌守選手の試合は会場で精一杯応援し、感動したのをしっかりと記憶している。 さて、冒頭に触れた流行語であるが、その移り変わりの激しさには正直驚きを禁じえない。2、3年前の流行語でさえ、もうずいぶんと昔の事柄のようで忘れ去られた感さえあり、あらためて流行に左右されずに生きていくことがいかに大切であり、またそれは一体どういうことであるのかと考えざるをえない。 そういう意味で前述の二つの感動にはその答えがあるような気がしてならない。それは、北南同時入場行進が「統一コリア」へと進むわが民族の大きなうねりの現れであり、洪昌守選手の活躍が、多くの在日同胞たちに夢と希望、そして、勇気を与えた出来事であるからだ。 流行りものはめまぐるしく移り変わるが、この「二つの感動」のように、民族の尊厳と誇りを胸に、人々がいつの時代も、「共に」創り、分かち合い、笑い、喜び、そして助け合うという普遍的な真理こそがいつの時代にも共感できる大事なキーワードではないだろうか。(東京 大田区居住 梁大隆) [朝鮮新報 2006.3.19] |