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〈本の紹介〉 社協ブックレット 経済強国建設の現状と展望

 朝鮮民主主義人民共和国は、建国以来最大の試練となった「苦難の行軍」時期を乗り切り、新たな国家建設ビジョンとも言うべき「社会主義強盛大国」建設構想具現へとまい進している。

 「苦難の行軍」が始まった1990年代中盤当時、国際社会は朝鮮の「早期崩壊」をまことしやかに伝えたが、実際には崩壊≠ヌころか経済は「上昇の軌道に乗っている」(新年共同社説)。昨年10月に食糧供給が正常化した事実は、そのことを端的に伝えている。

 このような変化の内実を裏付け、それがどのようにして可能になったのか、今後どんな方向に向かうのかを探るべく、在日本朝鮮社会科学者協会(社協)では昨年12月、「経済強国建設の現状と展望」と題して学術シンポジウムを開いた。本ブックレットは、その時発表された3編の報告をまとめたもの。当日の報告に若干の修正と加筆を加えている。

 「2005年の農業および食糧問題の動向と今後の展望」(文浩一、一橋大学経済研究所COE研究員)、「近年の経済再建への動きと展望−工業部門を中心に−」(朴在勲、社協中央理事、朝鮮大学校講師)、「朝鮮の対外経済事業および南北経済協力事業の最近の動向」(朴廣、社協中央理事)と、いずれも興味深い内容。独断と偏見に基づいた「北朝鮮分析」が横行する中で、客観的データや実際に現地に足を運んで得た話をもとにした説得力ある報告になっている。(社協中央、TEL 03・3816・4335)

[朝鮮新報 2006.4.7]