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映画「ヒョンスンの放課後」 誰も見たことのない少女の素顔

 個性を徹底的に消して、いかに全体の統一感を見せるかがマスゲームだが、当然ながら、出演者は一人ひとり個性をもった人間だ。そんな当たり前のことをあらためて気づかせてくれる。マスゲームの一体感を迫力満点の映像で見せながら、そこに出演する少女たちの素顔を描いて見せた。

マスゲームに出演する2人の少女の日常を追う

 前作「奇蹟のイレブン」の成功で、朝鮮側から信頼を得た英国人監督ダニエル・ゴードンが、マスゲームに出演した2人の少女の日常に8カ月密着した。撮影には全く制限が加えられず、地下鉄、電車、バスなど乗り物にも全部乗れた。そうして撮影されたものだけに、普段なかなか見ることのできない朝鮮の一般市民の生活風景を垣間見ることができる。平壌でも停電はしばしば。慣れっこの家族たちが暗闇の中で楽しそう≠ノ食事をする場面は、映画を観た平壌市民の爆笑を誘ったそうだ。

 ロボットのように表現されることもあるが、少女たちは「練習はたいへん」と愚痴をこぼすことも。母親に内緒で練習をさぼったことも告白≠キる。クライマックス、ポップス調の音楽と共に流されるマスゲームのシーンは圧巻だ。

 22日(土)より渋谷シネ・ラ・セット(TEL 03・5458・9267)にて上映。2004年イギリス映画。94分。配給シネカノン。(聖)

[朝鮮新報 2006.4.20]