〈みんなの健康Q&A〉 浮腫(むくみ)(上)−日常生活偏 |
Q:最近、朝起きると顔がはれぼったくて、すっきりしないことがあります。これって「むくみ」というものですか。 A:脚や手がむくんでだるかったり、朝、顔がはれぼったかったりするのは、日常生活で無理が続いたり、食生活が乱れると時々経験する症状です。医学用語ではこれを「浮腫」と書いて「ふしゅ」と読みます。 Q:ふだん健康な人にもみられることですか。 A:とくに成人女性ではストレスやホルモンの関係で、なんら明らかな疾患がなくてもむくみに悩まされることがあります。もちろん、さまざまな疾患によりこの浮腫は生じます。 Q:そもそも、浮腫とは体の中でどのような事態が生じておこるものなのですか。 A:人体は大量の水分で構成されており、その体内の水分は体重の約60%もあります。そのうちの2/3が細胞内に、1/3が細胞外に分布しています。そして、細胞外の水分の1/4が血管内に、3/4が血管の外側である間質という部分に存在します。血管内は血液が流れていて、間質との境界壁は毛細血管壁です。浮腫とは毛細血管内から間質に移動した液体が間質に過剰に貯留した状態をさします。 浮腫の原因は病的なものから特発性のものまで多種多様です。 Q:むくみがあってもすぐ治るから、ほっておいてもいいや、ということもありますが、重大な体調異常を示している場合もありうるわけですね。 A:生活改善や工夫によって自然によくなることも少なくありません。しかし、いつもと違うなと感じたら、何らかの疾患が隠れていることがありますので、すぐに医療機関で診察を受けるべきです。 Q:一般的に健康的な人がむくみを起こすのは、どんなときですか。 A:先ほども言ったように、ストレスや疲れ、睡眠や食事の乱れなど、多くの場合、不良な生活様式が原因でむくみが起こります。 たとえば、塩分をとりすぎると体が水分を過剰に要求するようになるので、結果的に体内に水分がたまりやすくなります。お酒を飲みすぎると、アルコール自体の作用でむくみやすくなると同時に、おつまみから塩分のとりすぎになりやすく、むくみのもとになります。 Q::立ちっぱなし、座りっぱなしでもむくみやすいですね。 A:そうです。同じ姿勢を続けていると、ふくらはぎの筋肉を動かさないので、血液を心臓の方に押し戻すポンプが働かず、余分な水分がたまります。とくに立ちっぱなしの時は重力で水分が下がるうえに、戻しにくいのでよりむくみやすくなります。 Q:寝不足や疲れがたまっている時にはどうしてむくみやすくなるのですか。 A:そのような状態が続くと、細胞に二酸化炭素や疲労物質などがたまり、酸素が不足します。そのため、より酸素を循環させようと血管が拡張し、血液量が増えます。それによって供給される水分量は多くなりますが、静脈を通してもとに戻す水分量が追いつかず、余分な水分がたまりやすくなります。 Q:服装やはき物に関してはどうですか。 A:ハイヒールや足を締めつける靴をはくと、締めつけによる血行停滞が生じるだけでなく、足の筋肉が緊張して固くなり、筋肉による血液循環の補助がうまく働かなくなります。体を締めつける服装も同様の理由でむくみをもたらしますので、注意しましょう。 Q:女性はとりわけむくみで悩まされることが多いと聞きましたが。 A:詳しい説明は省きますが、更年期における女性ホルモンの影響、生理などによる体調の変化が大いに関係しています。また、女性は男性に比べて筋肉が発達しておらず、皮膚も柔らかくて強い弾力性に欠けるため、水分を押し戻す力が弱いのが特徴です。 Q:日常生活でのむくみ対処法を教えてください。 A:まず脚のむくみに対してですが、とにかくじっとしている時間をできるだけ短縮するよう心がけ、時間をみつけて歩くようにしましょう。出歩けなくても、足を腰より高く上げるだけで、重力の影響が減じて水分は心臓方向に戻りやすくなります。休み時間に椅子などを使って脚を伸ばしたり、寝転んで脚を高くするといいでしょう。 手のむくみに対しては、バンザイをして腕を上にあげ、手をぶらぶらしたり、じゃんけんの「ぐー、ぱー」を繰り返して手指の曲げ伸ばしをするといいです。 顔は、朝目覚めたときにもっともむくみを感じやすい場所です。お湯と水で絞った温および冷タオルを交互にあてると、血管の収縮、拡張の働きが活性化し、余分な水分を効率よく戻すことができます。 Q:むくみにくい体になるためにはどんなことに注意すればいいのですか。 A:まず、疲れをためないように心がけてください。もちろん、ふだんから適度な運動で筋肉を鍛えることで、手足の血行循環のポンプ作用が有効に働くようになります。また、シャワーよりも湯ぶねにゆったりつかることをすすめます。38〜40度のくらいのぬるめの湯がよく、末梢の血行がよくなりますし、水圧により効率よく水分を押し戻すことも期待できます。食事については、塩分をとりすぎないことが第一ですが、とくに食事制限がなければ、塩分貯留を防いでくれるカリウムの摂取をすすめます。カリウムの多い食品の代表的なものは海藻類、アズキ、キノコ類です。(金秀樹院長、医協東日本本部会長、あさひ病院内科、東京都足立区平野1−2−3、TEL 03・5242・5800) [朝鮮新報 2006.4.21] |