京都 歌と映画で友好深め合う 「名唱、名奏、名画アリランの世界」 |
「アリランの調べで相互理解を」
朝鮮半島全域で歌い継がれる民謡「アリラン」の魅力を知ってもらおうという企画「名唱、名奏、名画アリランの世界」が、高麗美術館などの後援で6日、京都市南区のアバンティホールで開かれた。女性同盟京都府本部傘下の各支部委員長らによって実行委員会が結成され、長い準備を経て、開催されたもの。この日の2回の公演には約700人が集まり、静謐なアリランの調べに聴き入っていた。 公演では陳美子・文芸同京都支部文学部長が司会に立ち、「韓流ブームの今だからこそ、在日が歩んできた思いを汲み取ってほしい」と前置きしながら、「アリランは植民地時代でも、日本への批判と抵抗を込めて歌い継がれ、流浪して渡日してきた同胞たちによっても、望郷への思いと祖国解放への思いを込めて切々と歌われてきた。そして今、朝鮮の統一を願って多く同胞たちがこの歌に希望を託して口ずさんでいることをぜひ、知っていただきたい」と述べた。 この日は第1部で京都朝鮮中高吹奏楽部が演奏し、女性コーラスグループ「響」のメンバーが歌った。 第2部ではアリランを主題歌にした映画「アリラン」のリメーク版が京都で初めて上映された。この映画は3.1独立運動に参加した農村出身の青年が拷問を受けて精神を病み、殺人を犯して処刑される悲劇を描いた。原作は1926年、羅雲奎監督によって制作され大ヒットしたが、朝鮮戦争時にフィルムが行方不明になっていた。 映画を観た前田真理さん(21)は「話の内容がよくわからず、自分をとても情けなく思った。日本と韓国、朝鮮との間で何があったかも知らない。しかし、映画の中での日本軍人の態度や行為が本当になされたと思うと腹立たしく思った。もっと勉強し、理解を深めていきたい。アリランという歌は朝鮮語を習い始めたときにはじめて教わったものなのでとても好きだ。上映に感謝している」と感想を記した。 また、前田富士子さん(73)は「今日の映画を観て、日本による侵略のため朝鮮民族の苦労がいかばかりだったのか、よりはっきり理解できるようになった。真の友好が実現するまで共に闘いましょう」と感想を述べた。一方、ある日本市民(56)は、「日本人としてたまらない思いで映画を観た。あらためて日本人が朝鮮人にした罪を認識した。知っていたつもりでも映画を観るとリアリティがあり、こんな歴史的経過の中で、朝鮮の方々の(日本への)反目は当然であろうと思う」と率直な思いをつづった。(女性同盟京都府本部) [朝鮮新報 2006.5.13] |